日経SDGsフォーラム

リサイクルへの貢献、製造業に課題 事業とSDGs、ともに重視

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サーキュラーエコノミー(循環型経済)への転換が進むなか、材料の再利用やリサイクルへの対応が製造業の競争力を左右するようになってきた。先行例が事務機業界だ。事業とSDGs(持続可能な開発目標)を同軸で捉え、環境保全への貢献を将来の収益につなげることで成長への道筋が見えてくる。

 顧客と密に対話 省エネも後押し

 環境や社会問題への企業の対応を重視するESG(環境・社会・企業統治)投資が広がっている。リコーは積極的に情報を開示する企業として知られるが、その原点となったのが1998年の「環境経営」宣言だ。

 環境対応は一般にコストがかさみやすい。だが当時の桜井正光社長は環境保全と利益創出の両立を目指す方針を打ち出した。重視したのは明確な目標設定と徹底したコスト管理だ。顧客先から回収した複写機は部品単位まで分解、洗浄して再利用する。リサイクルしやすいよう設計の改訂を年々重ね、再生機の台数を増やしてきた。

 2005年には回収台数を予測するシステムも導入。20年超の取り組みで今や、製品・部品の再生事業は約300億円を売り上げるまでに成長した。

 欧米などでは公的機関だけでなく企業も、調達の際にESGへの取り組みを重視するようになってきた。リコーは環境対応などが認められ、20年度で約100億円の受注を獲得できたという。長年の取り組みが顧客から選ばれる決め手になりつつある。

 気候変動対策では高い目標を掲げる。17年、事業に使う全電力を再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的な企業連合「RE100」に日本企業として初めて参加した。今年3月には30年度の再生エネ使用率の目標を、30%から50%へと引き上げることを表明している。

 顧客企業のSDGs活動も支援する。販売会社に在籍する400人超の「SDGsキーパーソン」が担い手だ。顧客企業に自社の実例とノウハウを披露し、省エネ対策などを後押しする。この活動が顧客とのつながりを深め、事務機やネットワークサービスの受注に結びつく例も増え始めた。

 今年3月、自分の仕事がSDGsとどう関連しているかを社員に聞く「つながり表明調査」を実施した。例えば設計技術者なら使用電力を減らす設計で脱炭素に貢献する、といったイメージだ。発案した山下良則社長は「自分の仕事が家族に誇れるかを話せることが大切だ」と話す。社員がSDGsを自分事としてとらえるきっかけになっている。

 SDGsへの意識が日々の仕事に溶け込み、数値目標に向かって改革を続けていく。それがリコーが目指す姿なのだろう。

 (編集委員 半沢二喜)

ゴールを明示、活動の輪を社内外へ――
 1998年に「環境経営」を宣言した時、私は英国工場の経営管理部長でした。不良品ゼロの工場を目指すとともに、複写機に再生樹脂を使う取り組みなどを進めました。顧客やパートナー企業の賛同が不可欠で、容易なことではありません。地域に必要とされる工場になるためやりがいのある仕事でした。これはライフワークだなと思いました。
 社長になってすぐ「RE100」への参加を決めました。できるかできないかの議論ではなく、ゴールを明確にすることが重要だと思います。当社が表明すれば日本でも賛同者が出てくるはずだと考えました。需要家側が再生エネを使うことを言い続けることで、エネルギー会社の背中を押すことにもなります。
 ESG目標を統合報告書で細かく開示しているのも、ゴールを明確にして社内外で共有するためです。目標が見えないと活動が進まないし自律的に取り組めません。経営トップは覚悟が要るし、それを実行するメンバーも大変です。でも外部から認められることで、社員のモチベーションも高まり活動の輪が社内外に広がっていきます。
 創業者が提唱した「三愛精神」という言葉があります。「人を愛し 国を愛し 勤めを愛す」というものです。今で言えば国は地域や社会、地球ということになるのでしょう。だから社員に会うと必ず聞いてみるんです。「世の中の役に立っているか?幸せか?」って。
 2036年の創業100周年に向けて「“はたらく”に歓びを」というビジョンを掲げました。これまでOA機器で生産性向上に役立とうとやってきました。これからは自己実現につながる創造的な仕事のお手伝いをしていきます。

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