日経SDGsフォーラム シンポジウム

持続可能な社会へ企業動く 環境配慮、経営の主題

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 “経年優化”の街づくり進める

 三井不動産 取締役専務執行役員 浜本 渉氏

 当社が手がけた霞が関ビルディングや分譲マンション「サンシティ」の開発では急速な都市化と人口増加によるオフィスや住宅の不足、産業構造の変化に伴う工場移転や研究所の移転といった当時の社会課題に取り組んだ。 

 持続可能な社会の実現のためには、街づくりにおける建物の完成はゴールではなく、スタートだ。多様な人々を主役とした、地域に根ざしたコミュニティーの創出や良質なタウンマネジメントを通じ、街そのものが時を経るほどに進化・成熟していくことが必要だ。通常は、年を経ると建物は劣化していくので経年劣化といわれるが、我々は時を経るほどに進化・成熟していく街をイメージし、すべてのプロジェクトで〝経年優化〟に取り組む。

 日本橋室町三井タワーでは建物の中にガスコージェネレーション(熱電併給)による発電施設を設置。省エネや温暖化ガス排出削減、災害からのレジリエンス(強じん性)向上に貢献した。

 気候変動への取り組みは現代の最重要課題だ。脱炭素社会の実現に貢献すべく、2030年には温暖化ガス排出量を19年度比でマイナス40%、50年にはネットゼロを目標に掲げている。

 21年11月には具体的な行動計画を策定、公表した。ゼロエネルギー住宅など建物そのものの環境性能を高める取り組みを進めている。

 オフィスや商業施設のテナント、住宅購入者など全体で脱炭素化に貢献したい。

 パーパス実現し価値創造

 富士通 執行役員常務 CSO(兼)サステナビリティ推進本部長 梶原ゆみ子氏

 当社は2020年、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくことを定めたパーパスを発表した。全ての事業がパーパスの実現に向けた活動となるよう財務・非財務の両輪で経営目標を設定。非財務も含めて経営を行うことで、社会に対して長期的で安定した貢献ができる。それが当社の成長機会の創出につながるという〝正のループ〟を描くものだ。

 非財務では、サステナビリティー経営での重要課題をGRB(グローバル・レスポンシブル・ビジネス)として定めた。①人権・多様性②ウェルビーイング③安全・衛生④環境⑤コンプライアンス(法令順守)⑥サプライチェーン⑦コミュニティー――の7つ。これらの重要課題それぞれに目標とKPIを設定している。

 パーパス実現のために人材・組織の変革にも取り組んでいる。社員同士が多様性を尊重し合うインクルージョン(包摂性)を推進。個人のパーパスを言語化する対話プログラムを全社で展開するとともに、アフターコロナを見据えた新たな働き方改革を実施している。

 21年10月には30年の社会を想定して新事業ブランド「Fujitsu UVANCE(ユーバンス)」を策定した。社会課題を解決する業界の垣根を越えた4分野と、それらを支える3つのテクノロジー基盤の合計7分野から構成。サステナブルな世界の実現に向け、社会課題の解決に焦点を当てたビジネスを推進していく。

 エネ分野で新事業創出

 丸紅 代表取締役 常務執行役員CFO サステナビリティ推進委員会委員長(CSDO) 古谷孝之氏

 当社グループは2018年度に新規石炭火力発電事業からの撤退と、再生可能エネルギー発電事業の拡大に向け具体的な数値目標を公表し、順調に進捗している。

 21年3月には気候変動長期ビジョンを公表した。50年までに当社グループの温暖化ガス排出ネットゼロを達成すると同時に、事業を通じて低炭素化・脱炭素化に貢献。気候変動問題に対してポジティブインパクトを創出し、成長する企業グループを目指す。

 ネットゼロの実効性を高めるため、30年に向けたアクションプランを策定した。①丸紅単体・連結子会社の二酸化炭素(CO2)排出量5割削減②グループ関連投資先のCO2排出量2割削減③石炭火力発電事業によるネット発電容量半減タイミングの5年前倒し④森林植林地によるCO2吸収固定化――の4つだ。

 気候変動へのソリューションを創出するビジネスはエネルギー供給・エネルギー需要・土地利用の3つに分類される。これらの有望な事業機会に対し、全社横断的な取り組みで新たなビジネスを創出していく。

 当社グループは脱炭素・環境のグリーン事業も多数手がける。既存の優良なグリーン事業を強化・拡大するほか、知見やネットワークを活用して新たな事業の創出にも取り組んできた。21年9月に外貨建てグリーン債を5億㌦発行したが、積極的な取り組みが市場で評価されたと考えている。

 今後もグリーンビジネスを幅広く展開し脱炭素社会の実現に貢献したい。

 多様性・包摂性で社員支援

 三井住友フィナンシャルグループ 常務執行役員 グループCSuO(Chief Sustainability Officer) 伊藤文彦氏

 当社グループは金融面から脱炭素社会への貢献を重視し、サプライチェーン全体での温暖化ガス削減に取り組んでいる。

 サステナビリティー経営体制の高度化に向け2021年に「サステナビリティ委員会」を設置した。人事戦略の中核にダイバーシティー&インクルージョンを据え、従業員の多様な働き方を支援する。

 気候変動対策に関してはロードマップを策定し、50年カーボンニュートラル実現を掲げた。まずは30年までに温暖化ガス排出実質ゼロを目指す。さらにはサステナブルファイナンスを10年間で30兆円実行することを目標に掲げた。

 ビジネスの具体的な取り組みでは、顧客や他企業と連携したエコシステム(生態系)構築のためのプログラムを立ち上げ、デジタルを活用した温暖化ガス排出量可視化サービスなどを展開している。

 ファイナンス面では再生可能エネルギー発電案件の実行額が20年度に7300億円に達した。グループ会社の三井住友ファイナンス&リースは再エネ発電事業国内トップ5入りを目指す。また社会課題解決のためのコミュニティーを設置。学生に向けた金融教育も開始している。

 秋田県に「みらい共創ファーム秋田」を設立して、農業を巡る社会課題解決と成長産業への育成を目指す。そのほかにも北海道の「富良野自然塾」は、設立以来支援を続けている。これからも自然を守り持続可能な社会の実現に貢献していきたい。

 

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