ヘルステックサミット2021特集

ヘルスケアで健康な人生と自己実現を一生涯サポート RIZAPグループ 健康メディカルサービス社長 松崎主税氏が語る

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RIZAPは、結果にコミットするダイエットメソッドを提供する会社として広く社会に認知されている企業だ。同社が今後の重点戦略としてヘルスケア事業の拡大を掲げている。シニア向け健康増進プログラムの提供を始めとする様々な施策の先に見据えるのは、業種を問わず多様なプレーヤーが参画する「ヘルスケアエコシステム」の構築だ。人の力を最大限生かしたカスタマイズサービスで成長してきた同社は、今後どのような価値を社会に提供していくか。「ヘルステックサミット2021」でRIZAPグループ 健康メディカルサービス社長の松崎主税氏が行った講演の内容を紹介する。

 徹底した顧客目線で データ提供のハードルを下げる

 当社は今後、ヘルスケア企業へと移行していく。成長戦略の柱は、これまでの事業を通じて磨いてきた、人の力で築き上げるカスタマイズサービスにテクノロジーを掛け合わせ、新たな価値を創出することだ。

 重視するのは徹底した顧客目線だ。併せて、シームレスなデータ連携とソリューションの提供も欠かせない。当社は病気や治療目線ではなく、健康目線でデータを収集し、連携させていきたい。「今よりさらに健康になる」という自己実現に資するデータとして、体調が万全な時のデータや、その比較対象としての不調時のデータ、さらには健康を害したタイミング、あるいはそのトリガーとなった要因を分析するためのデータ収集や連携を進めていく。

 ただ顧客目線に立てば、「健康のため」という理由では、当社にヘルスケアデータを提供するモチベーションが上がりにくい。美容やダイエットに役立つ材料としてのデータ提供を訴求するなど、ヘルスケアデータを提供したくなる仕組みづくりが重要だ。針を刺さなくても血液を採取できる市販キットの活用などを通じて検診のハードルを下げることもその一つだ。また、長期に渡り定期的にヘルスケアデータを提供してライフログを蓄積することで、どんな時に健康リスクが生じやすいかといった傾向もつかめる。そうすれば当社は、その顧客が健康を損なうリスクを低下できるよう、最適なトレーニングや食事指導などを行える。必要に応じて医療機関ともデータを連携することで、さらにきめ細やかなサービスを実現することも可能になるだろう。

 具体的なサービスとして、20年11月よりMBM(メディカルボディメイク)プログラムを展開。月2回、マンツーマンで顧客の状態や要望に応じたカスタマイズトレーニングを受けられる。スタジオのマルチマシンはいつでも使い放題だ。管理栄養士による、チャットを活用した食事指導も受けられる。また、3カ月に1回血液データをとるほか、ウエアラブルを通じた日々の睡眠や健康状態の記録も行う。これらを踏まえ、1ヵ月に1回レポートを作成し、健康状態をみながら改善策を提供していくというプログラムだ。

 当社が「結果にコミットするダイエット」を通じて磨き上げてきた、個別対応で高価格のフルカスタマイズサービスと、AIの活用によりコストを抑えた、個別対応と大量生産型のサービスを掛け合わせたマスカスタマイズサービスを融合させたサービスモデルだ。

 

 自治体や金融機関などとの連携で ヘルスケアエコシステムを拡充

 今後、特に注力したいのがシニア向けプログラムの拡充だ。多くの場合、シニアはダイエットにはあまり関心がない。そこで当社は全国22の自治体と組み、独自開発した「体力年齢測定式」メソッドを用いた健康増進プログラムを展開。最初にプログラムを行った長野県伊那市では、3カ月のプログラムにより、参加者の体力年齢が平均37歳低下するという成果が出た。「体力年齢を若返らせる」という価値訴求はシニア世代にも分かりやすく、結果も可視化できるので非常に喜ばれている。

 20年には、未病改善を推進する神奈川県と包括協定を締結するなど、「体力年齢測定式」メソッドを用いた健康増進プログラムを活用した自治体との連携も推進している。

 22年1月からは、三重県でフレイル(加齢による心身の虚弱)予防の結果の見える化と継続化を実現するプラットフォーム構築の実証事業に参画する。スマートメーターから得られる電力データによるフレイル検知を行うJDSCと、コミュニケーションロボット「Bocco emo」を開発するユカイ工学との共同事業だ。画期的なのは在宅でプログラムを受けられる点で、「Bocco emo」のスマートスピーカー機能を使用して高齢者とコミュニケーションをとる。ウエアラブルなどの先端機器ではなく、電力メーターから活動量やフレイルチェックを行うのも、参加や継続のハードルを下げるための工夫だ。

 ヘルスケアエコシステムの構築や拡充を目指し、今後は医療機関と連携しての疾病予防プログラムも推進する。医療機関には疾病予防の治療の際の数値管理を担当してもらうほか、収集したデータを創薬などに活用してもらうことなどを想定している。また、エコシステム内で資金を回す仕組みを共につくるパートナーとして、金融機関とも連携したい。当社が提供するプログラムによってヘルスケア数値が改善した際のインセンティブ提供等を期待する。

 自治体との連携もさらに強化する。ヘルスケアデータをきめ細やかに把握するノウハウを強みに、健康以外の観点から価値創出をする機会も追求していく。例えば災害対策だ。データを通じて足腰の弱い人が多いエリアなどが把握できれば、災害時にいち早く救助に向かうべきエリアの特定もしやすくなるはずだ。今後、ヘルスケアデータから見える様々な価値に着目し、地域活性化やまちづくり支援にも貢献する。これを拡充させていくと、当社がスーパーシティ構想に貢献する未来も見えてくる。

 業種を限定せず、幅広い企業との連携も深めたい。金融機関との連携によるヘルスケア数値改善インセンティブの提供は、個別の顧客のニーズを把握することにも役立ち、例えばECサイトと連携して効果的な商品PRをすることも可能となるだろう。そうなると、ヘルスケア事業において当社がカバーすべき領域の壁はなくなり、ライフコンシェルジュとしての役割も担えるようになるはずだ。

 今後RIZAPは、みなさまの健康な人生と自己実現を一生涯サポートするライフパートナーとなる。そのためにもほかの企業や組織とのアライアンスを強化し、ヘルスケアエコシステムの一層の充実を図っていく。

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