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理にかなう非常識 新庄型リーダーが組織の同調圧力砕く 同志社大学政策学部教授 太田 肇

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 「まさか……」が現実に! プロ野球日本ハムの新監督に、ド派手な演出とパフォーマンスで知られる新庄剛志氏が就任したのには、プロ野球ファンのみならず野球にそれほど興味のない人まで驚かされた。自分が働く組織に当てはめても、このようなリーダー像はイメージすることさえ難しいだろう。

 たしかに彼の監督就任は、いろいろな意味で「常識」破りだ。

 近年の日本ハムは大谷翔平、斎藤佑樹、中田翔といったスター選手が抜け、3年連続のリーグ5位に甘んじた。おまけに選手による暴力や人種差別といった不祥事もあいついだ。

 成績低迷から脱却するには指導者としての実績のある人を、不祥事を起こさないためには規律に厳しい管理型の人を監督に据えるのがこれまでの「常識」だ。その点で新庄氏は実績もイメージも、まさに「常識破り」だといってよい。少なくとも、これまで日本の組織における定番のリーダー交代劇とは異質である。

 しかし、見方によれば新庄氏のような人を監督に据えたのは理にかなっているともいえる。それは企業のリーダー像を考えるうえでも示唆に富む。

 「負のスパイラル」から抜け出すには

 企業でもスター的な人材が去り、成績が低迷すると、組織は内向きになる。責任の追及や、小さくなるパイの分け前をめぐって内部で争いが起きることも珍しくない。その結果、組織の活力が低下してますます業績が悪化するという悪循環に陥りがちだ。

 また不祥事の再発を防ぐために管理が強化されると社員は萎縮してしまい、上司に忖度(そんたく)し上司の顔色をうかがいながら仕事をするようになる。それが社員の自覚と責任感を奪い、皮肉にもつぎの不祥事を引き起こす場合がある。近年大企業で続発した組織的不祥事の多くがこのパターンである。

 こうした現象の背後にあるのが日本の組織に特有の強い同調圧力であり、それが「負のスパイラル」を加速させていく。

 発想の逆転こそ必要

 だからこそ、そこから抜け出すには発想を逆転させるべきなのである。

 第1に、メンバーの意識を外に向けることだ。

 限られた役職ポストや給与原資を分配する組織のなかと違って、外の世界には動機づけの資源が無限に存在する。とりわけ重要なのが市場や顧客、社会からの評価、賞賛だ。実際に自分を殺して「滅私奉公」させるより、自分を前面に出して組織やチームに貢献させ、自己アピールさせるほうがはるかにメンバーのモチベーションが高まる。そして何よりも、みんなのテンションが上がればムードがよくなり、成績も上がる。

 さらに後者のような組織には、有能で野心的な人材が集まってくる。メジャー志向の大谷をはじめ、アマ球界のスター選手が日本ハムにつぎつぎと入団したのも、球団のカラーや方針に惹かれたからだ。

 

 

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