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70歳まで働くために 5つのチェックポイント 70歳定年時代の健康管理(下) 健康企業代表・亀田高志

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 健康的な生活習慣を送っているか?~病気を防ぐ努力の重要性

 これまで何万人もの働く人に心身の健康に関するお話をしてきましたが、会場の雰囲気に合わせて次の質問をしてきました。

 「もしも、死に神が目の前に現れて、『いずれ死は免れないが、死因を選ばせてあげよう。脳卒中と心臓発作、それからがんのどれが良い?』と聞かれたら、何と答えますか?」

 これらはご存じの三大死因です。

 心身の健康のお話をしているのに不謹慎だとお叱りを受けるかもしれないですが、おおむね一番回答が多いのが脳卒中、二番目は心臓発作で、回答が少ないのはがんでした。選んだ理由で多いのが一瞬で楽に逝きたいというものです。

 望まないがんを避けたいのであれば次の表のリスク要因を解消するよう、生活習慣を改めるしかありません。

 たばこが肺がんを起こすことをよく知っている人は多いのですが、お酒ががんを起こすことに注意を向けている人は極めて少ないと思います。特に飲むと赤くなる人は食道がん等のリスクが高くなることが知られています。

 がん細胞はそのメカニズムから、我々が生きている限り、人体の内部で発生し続けることが分かっています。そのほとんどは免疫システムで抑え込まれるのですが、一部が生き残り、年余にわたって成長し続け、やがて臓器を傷め、転移によって全身の機能を脅かすのです。

 我々が対応する術はできるだけ予防することと早めに見つけて治療を受けることしかありません。③のがん等の検診を受けているか?と④の健診と検診の結果に適切に対処しているか?と質問はその2つを意図しています。

 いわゆるメタボ(メタボリックシンドローム)をターゲットとした職場の定期健康診断はデータの良否や変動を見ますが、がん検診は見ようによっては、白か黒かの二択の結果を受け取る儀式に見えるかもしれません。それでも前向きに対処するか、後ろ向きに先延ばしするか、という違いは、業務や事業活動での判断や対処と同じです。がんだけでなく、生活習慣病から生じる動脈硬化等による病気でも、どちらの最終的な結果が良いかという可能性は明らかです。

 働くことができないシナリオを想定しているか?~就労不能の状態に備える

 なぜ「シナリオ」という言葉を使ったかというと、これまで健康管理以外に危機管理対策を手掛けた経験から、不測の事態に備え、被害を最小化するために有効な手法が関係者でシナリオを検討することだと考えているからです。多くのシナリオは専門的な知識がなくとも、現実的な想定が可能です。例えば、けがや病気に関して次の事柄を検討することは難しくないと思います。

ケース1:雨の日に出社した際に、傘をたたもうとした瞬間にオフィスの玄関前の階段で転倒。左足首を骨折し、入院して手術を受けることになった

・休業の手続きは?
・取引先との連絡・調整は?
・家族の用事との調整は?
・入退院の手続きと手術を受ける病院・自宅の往復の方法は?
・退院後の出勤がおぼつかない場合の勤務、例えば在宅勤務は可能か?
・医療費の負担はどうするのか? など
ケース2:会社で勧められた便潜血検査で陽性となり、大腸ファイバー(大腸内視鏡検査)を受けた際に、大腸がんが見つかり、専門的な治療(例:内視鏡的粘膜下層剥離術)を受けることになった

・がんとの診断のストレスにどのように対処するか?
・その後の対応を誰に相談するか?
・休業の手続きは? 取引先との連絡・調整は?家族の用事との調整は?
・入退院の手続きと治療を受ける病院への往復の方法は?
・短期の入院後に数日でも自宅で静養することは可能か?
・もしも経過観察が必要になった場合の通院の時間等の確保は可能か?
・医療費の負担はどうなるのか?
・休業が長引いた場合の給与は? 賞与を含めて少なくなる場合の生活費は? など

 多くの働く人はご自身がけがや病気で働けなくなることを想定していません。しかし、前回ご説明したように、70歳まで働くことを考えた場合には、看過できる確率ではないのです。ここに挙げたように可能性のあるシナリオを想定し、できる準備やいざとなった場合の対処をあらかじめ考えておくことが大切です。

 

 

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