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DX迷子避けるデータ活用法 「プロにお任せ」は禁物 マクロミル 渋谷智之氏(上)

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 自前データだけに頼るのは「敗因」にも

 自前のデータだけに頼るのも、ビッグデータを生かし損なう「敗因」の1つだ。データは複数の切り口から集めて、クロスさせることによって、意味合いがはっきり見えてくることが多い。「自社のデータだけにこだわらず、外部のデータを購入・参照して、照らし合わせる使い方が手持ちデータの価値を引き出す」(渋谷氏)。豊富なデータを持つマクロミルが事業を手がける意味もここにある。

 データに基づいてビジネスプランを立てる「データドリブン」も誤解を招きやすい言葉だと、渋谷氏は注意する。データが自ら事業の方向性を示してくれるような錯覚を引き起こしやすいからだ。証拠に立脚する「エビデンス主義」と混同されているところもある。数字を意識するのは、行き当たりばったりや思いつきを避けるうえで意味があるものの、「データに寄りかかりすぎるのは、危うさをはらむ」という。

 渋谷氏が上策とみるのは、まず解決したい課題をはっきりさせてから、その解決に役立ちそうなデータを求めるという手順だ。「データありきは順番が逆」(渋谷氏)という。課題を明確化しないまま、むやみにデータを集めてしまうと、かえってデータに振り回される事態に至りかねない。データは素材・道具にすぎない。だから、「データを活用しろ」と命じられた場合も、解決すべき課題の洗い出しを優先すべきだ。

 データサイエンティストと向き合う際は「プロにお任せ」的な態度は好ましくないようだ。「この膨大なデータの中から、よさげな結論を導き出して」という注文では、期待通りの結果を得にくい。渋谷氏は「ビジネス現場とデータサイエンティストの問題意識をあらかじめすり合わせて、望む分析結果のイメージを共有しておかないと、期待はずれに終わりがちだ」と語る。ビッグデータという難物を前に、ついおじけてしまいそうだが、現場の知見を提供してもらえないと、プロの分析も踏み込みが浅くなってしまうという。「お任せ」は禁物だ。

 いわゆる文系学部の出身者はビッグデータの活用という仕事に「自分には無理」と尻込みしやすい。「お任せ」が多くなる下地にはこうした苦手意識がある。しかし、今やDXやデータ活用のエバンジェリスト(伝道者)的な立場になっている渋谷氏も大学時代は「バリバリの文系」。大学院でマーケティングや流通論を専攻したものの、本格的にDXやデータ活用を学んだのは、マクロミルに入ってから。データサイエンティストのカウンターパートを務めるのであれば、「入門書を何冊か読んで、基本的な知見は手に入れておきたい」。本書は「教科書」と掲げている通り、初心者の手引きに向いた内容だ。

 

 

 

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