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増えるカスハラ・在宅時の不満…怒りとどう向き合うか? 戸田久実・日本アンガーマネジメント協会理事に聞く

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 「怒りを感じた時はまず6秒数える」「怒りは周囲に伝播(でんぱ)する」「怒りは表現方法がポイント」――。怒りの感情を自ら統御するアンガーマネジメントが日本の企業社会に浸透している。それでもカスタマーハラスメント(カスハラ)の収め方や自分への怒りの対処など怒りの種は日々尽きない。アンガーマネジメントの上級編を日本アンガーマネジメント協会の戸田久実理事に聞いた。

 ① カスハラ対応は線引きしチームプレーで

 サービス業などで客の過剰要求に困惑させられるケースが後を絶たない。ただクレームを全部カスハラと決めつけ「警察を呼びますよ」と売り言葉に買い言葉で反応するのは誤り。問題を深刻化させるばかりだ。戸田理事は「カスハラとクレームとの違いをケースごとにはっきり区別しておき、担当部署のチーム全員で共有する必要がある」と説く。従業員の対応、商品の欠陥、サービス内容への不満足などが本来のクレームだ。最初の一手は相手の気持ちをしずめること。誠意ある謝罪が欠かせない。「謝罪の後は『恐れ入りますが詳しく状況をお聞かせ願えますか』と傾聴することが重要だ」と戸田氏。何がクレームの原因なのか、何に対して怒っているのかを把握せず、とりあえず謝るという対応をしてしまうと、「本当は悪いと思っていないよね?」とさらに相手を不快にさせ、2次クレームを誘発しかねないという。相手の要求を見極めて今後の提案まで持っていくのがプロの対応だ。

 カスハラは言いがかりや金銭などの過度な要求や威嚇的な行動、営業妨害にまで及ぶケースを指す。戸田氏は「カスハラは日ごろから鬱憤がたまっており、八つ当たり的に怒りの連鎖で起きるケースが多い」と指摘する。カスハラにはひとりで対処、判断せず、早く解決しようと焦らないことがポイント。相手の要求に応じて書類の作成や署名もNG。現場の管理職や法務部と連携し、エスカレートした場合は警察や裁判所などを介した「紛争処理」として解決するのが正しい手順になる。脅迫罪や強要罪、威力業務妨害罪などに該当する可能性がある。

 ② 部下を叱責する。語気を強めてOKのケースも

 パワーハラスメント防止法(改正労働施策総合推進法)が昨年6月にスタートして1年あまり。叱ることのできない上司の悩みはいまだ解決されていない。言いたいことを言えない負の感情が蓄積すると顔を見るのもイヤになり問題解決は遠のくばかりだ。戸田氏は部下のミスにイラっとして怒りに任せた行動をしないよう、意識を違うところへ飛ばすことを推奨する。離席する、手のツボを押す、好みのアロマをハンカチに付ける――方法は何でもよい。「部下を叱責する場合、ポイントは事実をシンプルに伝えること。『ここが違うよ』『周囲に迷惑がかかるからここを直して』などだ」と戸田氏は言う。イライラしているのは時間も無駄だと指摘する。

 語調を強めてはっきり伝えなければならないケースもある。アンガーマネジメントは怒りの感情自体は悪いとは規定しない。どう表現するかが急所のポイントだ。戸田氏は「きっぱり言うことで真剣さが伝わり、相手の改善につながるケースは少なくない」と指摘する。(1)トラブルの原因を誰かのせいにした(2)紹介した相手に迷惑をかけた(3)コンプライアンス違反――など今後の仕事や会社の信用問題にかかわるケースがこれに当たる。「人格攻撃や暴力的な行為をすることなく、事実確認をし、何がいけなかったのかを明確にし、今後こうしてほしいと伝えるのであれば、パワハラには該当しない。」と戸田氏。

 

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