日経SDGsフォーラム

気候変動対策、金融がけん引 カーボンニュートラル、試される存在価値

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三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が気候変動問題への対応で、国際金融界の先頭に立つべく動き出す。全人類的な共通課題に浮上したカーボンニュートラルの実現には金融の役割が欠かせない。世界が次へ、前へ進もうとする思いをかなえるために力を尽くす――掲げる目標の成否は、この国の金融最大手の存在価値にも直結する。 

 強い危機感共有 次の一歩へ結束

 MUFGが矢継ぎ早に動いている。まず2021年5月に邦銀として初めて「カーボンニュートラル宣言」を打ち出した。2050年までに自らの投融資を通じた温暖化ガス排出量をネットゼロにする。

 その翌月には、国際金融組織「NZBA」(ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス)に加盟。英HSBCや米シティグループなど有力国際金融機関とともにNZBAの中核12社に選ばれた。「アジア代表」として、温暖化ガス排出量の科学的な削減手法の研究や中長期目標の設定、進捗状況の情報開示などルール作りを主導する。

 米欧銀トップらとひんぱんにリモート会談をこなす亀澤宏規社長は明かす。「僕たちは強い危機感を共有する。世界の金融機関一体でこの問題に対峙していかなきゃならないよね、と」

 自社の取り組みも加速する。サステナブルファイナンスは3年前に立てた2030年までに「20兆円」という目標を「30兆円」へと上方修正した。想定以上のペースで積み上がっているためだ。

 具体的な案件のひとつが米カリフォルニア州で最多の水素ステーションを展開する有力新興企業への投融資だ。同州は水素燃料電池車の最大市場。燃やすと水になる「水素」を次世代エネルギーと位置づけ、ローンにとどめず出資を通じてリスクをとる。

 昨年9月にはNTTグループや大阪ガス、三菱重工業など8社と共同出資で新会社Zエナジー(東京・千代田)を立ち上げた。Z社が運営する「再生可能エネルギーファンド」は太陽光や風力など再エネ電力を「つくる」発電プロジェクトに投資し、そこから生まれたクリーン電力を株主や投資家が購入して「つかう」。再エネ利用の一気通貫モデルを通じて「究極の再エネ会社に育てる」(三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取)。電力の売却先を広げ、ファンド規模は将来3000億円を見込む。

 銀行が抱える100万社超の取引先中小企業を巻き込むことも必須だ。それには生産工程やサプライチェーンを通じて企業が「一体どれだけ温暖化ガスを排出しているのか」。まずそこを把握してもらわないと始まらない。そうした独自の算定・可視化技術をもつゼロボード(東京・港)と提携。顧客にソリューションを提供し、脱炭素経営を支援する。

 (NIKKEI Financial編集長 佐藤大和)

激動の世界、今こそ「SDG」で後押し

コロナ禍含め、激動する世界で多くの人が重たい課題に直面しています。顧客や社員、環境や社会、株主や投資家などあらゆるステークホルダーが前進しようという思いに貢献したい。そうした決意を込めたのが「世界が進むチカラになる。」という昨年制定したパーパスです。

カーボンニュートラルといった気候変動への対応が重要なのは言うまでもない。されど、日本の代表的な金融機関としては、それだけでは足りない。

国連の持続可能な開発目標「SDGs」には17の柱があって、さらに細分化すると160超の目標があります。そこをもう少し大ぐくりにした我々なりの「SDG」に整理するとMUFGに課された使命が浮かび上がる。世界の先頭を切って高齢化社会が到来した日本の金融機関として大事なのがシニアの「S」。そしてダイバーシティの「D」、さらには「G」がグリーン(環境対応)です。

円滑な資産・事業承継をはじめ、人生100年時代を支えるのは大切な役割です。ここでポイントになるのが金融デジタル化の潮流。高齢者にとってデジタルって壁があるように思われますけど、実はそうではない。やりようによってはシニアとデジタル技術には親和性があるんです。高齢者の方々にも使いやすい安心・安全な金融サービスを徹底して磨きます。

インクルージョン&ダイバーシティは私の責任で強力に推進します。性別、LGBTQ(性的少数者)、国籍、文化……多様な人材が意見を出し合い、その多彩な価値観を尊重しあう組織でなければ、グローバル金融機関たるMUFGは強くなれないどころか、生き残れない。そのための共通理念こそが、我々が定めたパーパスなんです。

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