ビジネスに効く 伝わる文章術

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 次の問題にOPQA法で回答した例をみてみましょう。

 Q.スマートフォンを小学生に持たせるべきでしょうか。

<回答例>
 スマートフォンを小学生にも持たせるべきです。デジタル化が急速に進むなかで、スマホのアプリは日常生活を送る上で便利な機能が増えています。さらに子供のうちからスマホやSNS(交流サイト)の利用法を積極的に学ばせることで、コミュニケーション能力の向上などメリットも大きいと考えます。
 子供のスマホや携帯電話の利用率は上昇が続いています。内閣府の調査によると、2017年度の小学生(4年生以上)の携帯・スマホの所有・利用率は55.5%で、10年度の20.9%から急増しました。親がスマホを持たせた理由を聞いた東京都の18年3月調査では、「子供にせがまれたため」が33%と最多。「所在地がわかるようにするため」(31%)や「情報処理能力がつくため」(15%)が続きました。
 親がスマホを日常的に使っているのに接していれば、子供が欲しがるのは当然。小学校への入学を機に、子供だけで遊びに行く時間が増えます。共働き世帯も増えており、親と子の連絡手段は不可欠となっている点もスマホの所有や利用を後押しします。
 アプリの充実も見逃せません。グーグルマップのモバイル版アプリには自分の居場所をリアルタイムで相手に知らせる「現在地の共有」機能があり、子供を持つ親としては安心なサービスです。リクルートの「スタディサプリ」は予備校講師らによる授業動画を自宅で視聴できます。これらのアプリは費用が安価なことが大きな利点です。
 ただ、子供の利用では「負(暗)」の側面も指摘されているのは事実です。警察庁によると、19年にSNSで何らかの被害に遭った児童数は2095人。この10年で8割強増えています。スマホ依存に陥ると、メンタル面の不調や不眠などを招くと警鐘を鳴らした『スマホ脳』(新潮新書)といった書籍がベストセラーにもなっています。東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授の調べでは、自宅で勉強をする、しないに関係なく、スマホを使う時間が長い生徒の成績が悪いといいます。
 反対にデジタル化によって可能になる学習はたくさんあります。例えば理科。理科室では不可能だった実験も動画再生なら一瞬で、目で見えない反応まで映せます。AI(人工知能)ドリルや学習アプリで効率的な自主学習も可能になる。そのツールはやはりスマホ。社会全体でスマホを安全に活用できる環境を整えることで、小学生がスマホを持つ「正(明)」の部分を強調したいと考えます。

 反論やマイナス面など「抑え」が信用生む

 

 主張(結論)→ 理由(根拠)→ 事例 → 抑え(反論とそれへの対応)→ 主張(結論)というように、「こうした反論や見方もある」という〝抑え〟を入れると客観性が増します。

 これは「両面提示の法則」という、相手を説得する心理テクニックにも通じるものです。一面提示とはメリットになる情報だけを相手に教える方法。両面提示とはメリットだけでなく、デメリットも教えた上で説得する方法です。

 相手が自分より立場が上だったり、自分と異なる立場だったりする場合は、プラスの情報だけでなく、マイナスの情報を提供する両面提示でなければなりません。

 例えば、小売店で顧客に商品やサービスを売り込むときは、長所やメリットを伝えるのが一般的です。「この商品は性能が抜群で、グッドデザイン賞も受賞しています。しかも今はキャンペーン期間でお求めやすい価格になっています」といった具合に。

 この一面提示に対して、両面提示はあえて商品の欠点を提示することで相手の信用を得るテクニックです。

 両面提示が効果的なのは、相手が対象であるモノに関する知識を持ち、しかも判断力があるときです。その場合は、メリットとデメリットを包み隠さずに伝えた方が、こちらの信用を高められます。相手を合理的に説得したければ、功罪両面を素直に伝えるのがベターです。OPQA法はこの原則を抑えています。

 また、メリットとデメリットの間に何らかの因果関係が説明できると、説得力がさらに増します。例えば、「旧モデルだからお安くできます」「機能が限られているので使いやすい」といった論法です。

 繰り返しの主張(結論)の前に反論への対応(抑え)を差し込むことで、「独りよがりではない」「いろいろな立場にも目配りしている」と思ってもらえます。読む人に対する説得力が増し、読み手の納得感が高い文章に仕上げられます。

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