ビジネスに効く 伝わる文章術

ビジネス文章はサンドイッチ方式で 白鳥 和生

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 次はPREP法の文章例をみてみましょう。

 Q.消費税の増税に伴い、店頭での価格表示にどのような影響がありますか。

<回答例>
 2021年4月から消費税込みの価格表記が原則となる。時限立法の期限が切れるためで、「98円」の表記は税込み価格の「105円(食品など8%の場合)」、もしくは「107円」と併記しなければならなくなる。価格が少し変わるだけで、消費者心理に対するインパクトは違ってくる。例えば98円と100円。わずか2円しか差がないが、価格の桁が2桁から3桁になり、これが消費者に割高感を抱かせる。
 98円や1980円といった価格設定を「端数価格」と呼ぶ。切りの良い数字より、安いと感じさせることを促す価格政策だ。心理学的には「大台割れ価格効果」、または「端数価格効果」と呼ばれることもある。実際に、2円や20 円という価格差以上に消費者は「安い」と感じて売れ行きが伸びるため、食品や日用品、衣料品をはじめあらゆる商品で設定されている。
 端数に「8」が使われるようになった起源は定かではないが、八は末広がりで縁起が良く、イチキュッパ、ニーキュッパといった語呂の良さからという説もある。
 1997年4月に消費税率が3%から5%にアップした際や、2004年4月に総額表示が義務付けられた際も、大台割れ価格を維持しようと多くの企業が価格転嫁を見送り、実質値下げを迫られた。だが今後は消費税率が段階的にアップしていくことが予想され、企業がそれを吸収することは容易ではない。
 総額表示の義務付けをめぐっては、14年の8%、19年の10%と消費税が段階的に引き上げられるのに伴い、21年3月31日までの特別措置として税抜きの本体価格表示も認められることになった。つまり、「100円+税」といった表示が可能になり、多くのスーパーやドラッグストアでは本体価格を表示してきた。
 ただ、消費者は消費税を含めて結局いくら払うのかを知りたいということは各種調査で分かってきており、顧客の理解を得るために「総額で端数価格を維持する」という声も出てきた。実際、「ユニクロ」のように、税込みの総額価格で「1990円」や「3990円」を維持する思い切った値下げに踏み切る企業も出てきた。
 いずれにしろ1997年、2014年、19年の消費税率のアップは消費者心理を冷え込ませた。価格表示をどうするか、小売業や外食業にとっては知恵の見せどころといえそうだ。

 回答例は、冒頭で消費税込みの総額表示が原則となることを紹介(P)。

 それは時限立法の期限が切れるため、本体価格のみの表示ができなくなるからという理由を書きました(R)。

 そして、端数価格という店頭の価格表示について説明し、消費税率アップの都度、小売企業は消費者心理への影響を警戒してきた事例を盛り込みました(E)。直近のユニクロの値下げの動きを紹介し、内容に厚みを持たせています(E)。

 最初と最後で「消費者心理」というキーワードを繰り返しています。

 読者の疑問・反論に先手

 次に読者の疑問・反論に先手を打つパターンを説明します。

 基本は、①意見 → ②理由(なぜなら~) → ③相手の反論予想(確かに~) → ④反論(しかし~)という流れです。

 例えば、①電話よりメールの方がよい → ②なぜなら、メールは文字で記録が残るから →③確かに、電話の場合は声のトーンなどで感情が伝わる → ④しかし、ビジネスで大切なのは感情豊かに伝えることよりも正確に伝え、その記録を残すことである、といった具合です。SDS法のパターンに、自分の主張への疑問や反対意見を想定し、それに対する回答を入れるわけです。

 ポイントは、③で自説を一方的に主張するのではなく、相手の言い分を受け止める。そして、認めるべき点は認めるという冷静な態度で臨むことです。それでこそ、④が生きてきます。説得力や納得感が格段に高まるわけです。

 反論を入れるパターンを、経営コンサルタントの山崎康司氏は「OPQA法」と説明しています。

 ①Objective(望ましい状況)→ ②Problem(問題、現状とObjective とのギャップ) → ③Question(読み手の疑問 → ④Answer(答え/文書の主メッセージ)という流れです。

 ①売り上げを増大させる→ ②売り上げが低迷している → ③売り上げを増大させるためにどうすればよいか?→ ④売り上げを増大させるために〇〇を提案する、のように、③で①②の文章や話を読み聞きしている人の疑問を提示し、④で疑問に答えつつ①の必要性を強調します。

 

 

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