ビジネスに効く 伝わる文章術

ビジネス文章はサンドイッチ方式で 白鳥 和生

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 新型コロナウイルスの感染拡大は、社会のデジタル化を加速しました。リモートワークや遠隔会議が定着し、コミュニケーションのあり方も一変。口頭で長々と話していても納得感を得るのは難しく、数字に基づいた資料をきちんと用意し、簡潔で要領を得た文章で伝わる工夫が求められています。本連載では『即!ビジネスで使える 新聞記者式 伝わる文章術』(CCCメディアハウス)をもとにビジネスに役立つ文章術を3回にわけてお伝えします。今回は2回目です。

 「起承転結」は使わない

 国語の授業では、文章は「起承転結」で書くべきだと習いました。ですが、コラムはけっして起承転結にはなっていません。

 主張(結論)と主張(結論)で根拠(理由)や事例をはさみ、結論を説明・補強する文章がコラムです。サンドイッチでいうなら、ハムや卵、レタスといった具材が事例や数字(データ)であり、主張(結論)がパン、そしてそれらをつなぐロジックがバターやマーガリンと言っていいかもしれません。

 文章講座やプレゼンテーション講座でよく取り上げられるSDS法(Summary=要点 →Details= 詳細 → Summary= 要点)や、PREP法(Point= 結論 → Reason= 理由 →Example =事例 → Point=結論)というテクニックもコラムの書き方の一例です。

 SDS法でいえば、①展示会の出展は中止すべきです → ②なぜなら新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、展示会には多くのお客様が参加されるからです → ③早く中止を決定し、参加者に連絡する必要があります──といった具合です。

 ひとつ例文を紹介しましょう。

 エスカレーターの片側を空けることには反対です。お年寄りや障がいを持つ方への配慮が必要であり、健常者も含めて誰もが安全で安心できる環境を保つことが重要だと考えるからです。実際にエスカレーターでの事故は多く、私の両親も自分の横を駆け上がったり下りたりする人がいるのが不安だと訴えます。
 仕事で忙しい人や、急を要する人もいるのは確かです。自分も急いでいるとき、エスカレーターの片側を利用することもないとは言えません。しかし、社会にはルールが必要です。一定のルールに従うことで秩序が保たれ、安全な生活が送れます。
 2列で立ち止まって利用するのにも柔軟な運用が必要です。2列並びはラッシュ時には「密」になり、事故につながるリスクもあります。人の流れに応じて社会的距離を保ちながら、片側を空けても「歩かない」方向へ是正することが、社会の安全・安心につながるのではないでしょうか。

 上の例文では、まず賛成か反対かの主張を明示しました。

 そして、〝誰もが安全で安心できる環境を保つことが重要だと考えるから〟と反対の理由を続けるオーソドックスな展開です。自身の両親の不安も紹介し、反対理由に説得性を持たせました。

 第2段落で、〝仕事で忙しい人や、急を要する人もいるのは確かです〟と始め、読み手の疑問に答えるよう工夫しています。

 そして〝柔軟な運用必要〟とし、主張が独りよがりではないことを示唆して、納得感を醸成するようにしました。

 三段落構成のSDS法(Summary=要点 → Details=詳細 → Summary=要点)の典型な文章例です。

 

 

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