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22年の株主総会、集中日のオンライン中継途絶にご注意 松本裕之弁護士に聞く

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 新型コロナウイルス禍における株主総会シーズンも今年で3回目となる。SDGs(持続可能な開発目標)やウクライナ危機などにも投資家の関心が集まっており、物言う株主(アクティビスト)の動きも活発だ。大手など約60社の顧問弁護士を務める松本裕之弁護士に、今年の総会で想定される質問や企業が注意すべき点について聞いた。

 コロナ以前にいつ戻るか、どこまで戻るか

 ――株主総会への企業側の準備は過去20年間で様変わりしたと指摘しています。

 「2000年代初めまでは、企業法務の立場から想定問答のシナリオを練り上げ、模擬総会では議事の進行を妨げる総会屋に退場を促す練習にも立ち会いました。例えば、退場させる相手の体に触れないのがポイントです、などと話していました。しかし、現在は違います。『最近リリースされた御社の新技術は…』などは、以前なら総会屋が得意とした質問でしたが、今日では一般の個人投資家からも具体的な内容が多く問われます。我々も経営陣へのリハーサルで、株主役として質問をしても回答までは明示しないことも多く、経営者自身の言葉で考えてもらうよう促しています」

 ――今年の総会当日に予想される質問は何でしょうか。

 「今年特有の問題としては、コロナ禍以前の体制にいつ戻るのか、どこまで戻すのかといった点でしょうか。これは100社が100社とも正解が違ってきます。通常の質問であればもう十分に対策していると思いますが、意外に見逃されがちな質問として、コロナ後の従業員の働く場所、時間の選択の幅をどう設けるかというものがあります。これについては出社が必要な従業員とテレワーク勤務の従業員との間に不公平感を生じさせないという点も留意しておく必要があります。完全なジョブ型を導入済みの企業であれば、各従業員が自分で望んだ職種であることから、職種ごとの不公平感という問題はあまり生じないかもしれません。しかし、そのような企業は、まだ多くはないと思います。完全なジョブ型を導入していない企業において、オンライン会議だけでは難しい場面も多くあり、職種ごとに出社の要否が異なってくることも少なくありません。そのような場合に出社の要否という点だけに着目しても一種の格差が生じます。テレワークに適したIT企業ならば経費削減のための本社移転といった質問も予想されます」

 ――SDGsは年々注目度が高まっています。

 「既に採用面接の現場で、企業が直面しています。人事部が真っ先に採用したい優秀な学生ほど、長期成長戦略としてのSDGsの取り組みを質問してきます。はぐらかしたりすると、超大手企業でも学生に離脱されます。ただ、SDGsについて国連が定めた17項目の達成目標は、働き方の向上やジェンダー平等推進など企業が日常取り組んでいる分野が多く、現時点では、総会では中長期目標と現在の達成段階を示せば良いでしょう」

 ――ウクライナ侵攻のような地政学リスクの回避にも関心が向けられています。

 「契約書に免責条項を書き込むことを常態化することでリスクを低減できます。商社など海外との取引を頻繁に行う業態における契約書では、『戦争(宣戦布告の有無を問わない)などの不可抗力の場合には、当該契約に基づく義務の不履行又は履行遅滞について責任を負わない』といった趣旨の条項が含まれていることは当然のことになっていると思います」

 

 

 

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