BizGateリポート/技術

EV化 ルール作りで日本勢に乗り遅れ懸念 深尾三四郎・伊藤忠総研上席主任研究員に聞く(上)

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 日産、デンソーは独自に取り組み

 ――日本企業も手をこまぬいているばかりではなく、カーボンフットプリント(CO2排出量)削減に独自展開しているメーカーの取り組みを新著で紹介しています。

 「クルマの移動中のCO2排出を減らすEV化だけではなく、材料調達から生産、使用、廃棄までの全体で評価するライフサイクルアセスメント(LCA)の考え方が広がっています。日産自動車は北米で販売する新型多目的スポーツ車(SUV)に軽量化部材のアルミニウム合金であるクローズドループ・リサイクルを採用しました。生産時に発生した廃棄物やスクラップ、使用済み製品を同等の品質を維持した上で再生して用いる手法です」

 「デンソーは排出したCO2を貯留・再利用する『CCU』の実証実験を進めています。メタンガスを燃焼して発生する排ガスのCO2を吸着してタンクに回収します。一方で太陽光発電を利用して水から水素を生成し、双方を反応させてメタンガスをガスエンジンへ送り込む循環プラントです。デンソーは30年までにCO2循環プラントを新規事業として立ち上げ、35年には年商3000億円規模まで拡大する考えです」

 ――22年の焦点はスコープ3(サプライチェーンでの間接排出)での脱炭素化と指摘しています。ホンダは主要部品メーカーに対し、CO2排出量を19年度比で毎年4%ずつ減らし50年に実質ゼロにするよう要請しました。

 「国際会計基準の作成を担うIFRS財団は気候変動リスクの情報開示について、22年6月にも世界共通の国際基準を作ると発表しました。部品調達など取引網全体に関わるスコープ3も開示対象になり、自動車業界ではESG投資家などによるスコープ3でのCO2排出削減を迫る動きが22年にも加速する見通しです。欧州委員会も24年7月から、車などに使う電池の製造から廃棄までのCO2排出量を報告するよう企業に義務付けます。自動車メーカーのみならず部品メーカーは今すぐにでも脱炭素を本格化しなければならない状況です」

 (聞き手は松本治人)

 

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。