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高いエンゲージメントに3つの副作用 効果的な対策は  エンゲージメントの高い職場の作り方(下)ビジネスリサーチラボ代表 伊達洋駆

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 人や組織をめぐるキーワードの一つとして、「エンゲージメント」に注目が集まっています。エンゲージメントとは、仕事に対して生き生きと没頭していることを意味します 。

 エンゲージメントを高めるのは良いことかと問われれば、ほとんどの人が「イエス」と答えるのではないでしょうか。実際、エンゲージメントが高いほど離職しにくかったり、パフォーマンスが高かったりすることが分かっています。

 しかし、薬に主作用(望む効果)があれば、副作用(望まぬ悪影響)もあるのと同じようにエンゲージメントにも副作用があります。

 本稿は学術研究のエビデンスをもとに、縄張り意識の高まり、働き過ぎ、ワークライフバランスが崩れるといったエンゲージメントの副作用を紹介します。さらに3つの副作用それぞれへの対策について解説します。

 縄張り意識が強まり、知識を隠す恐れ

 エンゲージメントが高い人は「当事者意識」を持って働いています。仕事を進める上で当事者意識は重要です。

 例えば、当事者意識を持つ社員の方が、パフォーマンスが高い傾向があります。また、役割外のことであっても進んで行動することも明らかになっています。

 一方で、当事者意識が「縄張り意識」を高めるリスクも知られています。仕事を自分ごとと捉えすぎた結果、自分の仕事に固執して排他的になってしまうのです。

 縄張り意識が強くなると、仕事の中で得た知識を自分だけのものにして、周囲の人と共有しなくなります。さらに倫理的ではない行動をとるなどの問題にもつながることが検証されています。

 エンゲージメントが当事者意識を促すのは良いものの、それが縄張り意識に変化すると、エンゲージメントの副作用が生まれてしまいます。

 職場の目標を立てる

 当事者意識が縄張り意識になるのを、どうすれば防ぐことができるのでしょうか。一つは、職場の目標を立ててメンバーとしっかり共有することです。

 職場の目標を意識して働けば、社員の目線は自分の仕事に閉ざされることはありません。他のメンバーを含めた職場へと視野が広がります。

 もう一つは、職場におけるメンバー間で仕事の重なりを増やすことです。一人ひとりが別々の仕事を独立して行うのではなく、ある人の仕事の一部が他の人の仕事につながるように、職場全体の仕事を設計します。

 仕事が重なっていると、普段からメンバー同士のやりとりが自然に発生します。頻度の高いコミュニケーションはお互いに対する信頼を作り、知識を隠そうとするモチベーションを抑えるでしょう。

 

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