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デジタル時代の営業スキル 必要な4つの思考術 『両利きの営業力』(中)トライツコンサルティング代表取締役 角川 淳

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 デジタル時代に必要な営業スキルとは何でしょうか。まず、従来型の営業のスキルモデル例を使って、これまでの営業スキルについて整理しておきましょう。

 この例では、(1)顧客発掘(2)商談発掘(3)商談受注という3つの機能をすべて営業パーソンが担うことになっており、それを営業企画部門が支援する構造で、それに合わせたスキルモデルになっています。

 顧客の課題を発掘することを重視するソリューション営業の場合、これに「課題発掘力」などが加わることもありますし、商品力があり、その興味付けのウエートが高いと「興味付け力」が必要になると思われます。このようにそれぞれの企業の市場でのポジション、営業戦略や商品力などによって重要なスキルに違いがあるものですが、どちらにしても「営業パーソンが行う営業活動」を軸に必要な営業スキルを整理するのが基本でした。

 ここでのポイントは、ある程度パターン化された営業活動を継続的に回していくことが前提になっているということです。営業パーソンとして10年以上、同じことをやっている人は少なくありません。

 ちなみにベテラン営業の中に「営業マニュアル否定派」の人が多くいます。「我々の仕事はコンビニやファストフードの店員のようにマニュアル化できるものではない」というのがその主張ですが、実は同じ仕事のやり方を何年も続けていて、変化もないのでわざわざマニュアル化する必要がないというのが本当のところだったりします。しかも限られた狭い範囲の中でしか工夫することを許されず、かつ厳しく結果を管理されるので、思考が保守的で、硬直化していることが多いのです。

 デジタル時代のモデル

 では、これからのデジタル時代に必要な営業スキルモデルはどうなるのでしょうか。それをご紹介する前に、大事なことを確認しておきましょう。

 これまでの営業はどちらかというと閉鎖的で、外部から新しいものを取り入れるというよりも、現場で工夫すべきものとされてきました。その傾向はリーマン・ショック以降の経費削減の流れでさらに強くなり、「営業研修? 最近やってないね」という声もよく聞きます。新しいことを学ぶ機会がないと、人の思考や行動はパターン化しがちで、保守的になってしまいます。

 しかし、デジタル化の流れは単に目新しいツールだけでなく、それを前提とした新しい考え方や方法論を生み出します。生産性を高めていこうとすると、どんどん出てくる新しい営業やマーケティングに関するコンセプトやツールについて常に「勉強」し、深く「思考」して、自社に合ったものに「具現化」させ、それを「実行」し、得たい成果につなげる必要があります。

 これまでの営業組織においては、誰かが決めたことを「実行」する能力は重視されてきたのですが、「具現化」する能力はあまり重要視されてきませんでした。それはデジタルというような大きな環境変化がなく、現場レベルで小さな工夫を積み重ねることでパフォーマンス向上が実現できたからです。

 それに対し、これからはこの新しいコンセプトやツールという「外からの新しい風」を自社の営業に適合したカタチにできる「具現化」がとても重要になります。

 もっと簡単に表現すると、「外から学ぶ営業組織」にならなければならないということなのですが、閉ざされた社内で「カイゼン」を重ねることだけしかやってこなかった日本の営業組織は「外から学ぶ」ことが決して得意ではないのです。

 例えば各社の営業支援システム(SFA)はユーザーレベルでかなり柔軟にカスタマイズできるようになっていますが、これは「具現化」をユーザー自らできるようにしているということです。ただ、日本の企業にはそれができる人材を社内で育成せず外部のベンダーに丸投げしたり、これまで使ってきたシステムと同じになるように無理やりカスタマイズしたりしているところが少なくありません。

 人材を投入して、組織として学ぼうとしないので、そのシステムが持つ考え方や、他社のニーズを取り入れて熟成されている機能を生かして、自らの営業を進化させることにつながらないのです。

 

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