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ウクライナ大使館、窮地救った名古屋のベンチャー 殺到した電話・メール、DXアドバイザーが解決

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 ロシアが軍事侵攻を始めてから多数の問い合わせを受け、業務がひっ迫した在日ウクライナ大使館。彼らが支援を求めたのは名古屋市を拠点とする社員わずが8人のベンチャー企業だった。ウクライナ大使館はなぜ小さなベンチャーを頼ったのか。

 「善意」が大きな負荷に

 深刻化するウクライナ情勢。2022年5月1日現在、ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリをロシア軍が掌握し、市内のアゾフスターリ製鉄所に身を寄せる民間人が無事に避難できるかが焦点となっている。

 ウクライナに支援を届けるべく、義援金や援助物資を送ろうという動きが国内に広がっている。ウクライナ大使館にはロシアによる侵攻開始から2週間で約2000件の問い合わせの電話やメールが殺到し、一時は回線がパンク状態になることもあった。

 一方、大使館では避難民にとって有益な情報は提供し続けなければならず、膨大な問い合わせの中からすぐに対応すべき情報を抽出できずにいた。

 ウェブサイトで適切なアナウンスができていなかったため、善意の日本国民から続々と届く支援物資を受け取り、保管するだけでも大使館員に大きな負荷がかかった。

 困り果てたウクライナ大使館は知り合いのツテをたどってコケナワ(名古屋市)に相談。社員8名と小規模ながらも多角的な事業を展開する同社の出番となった。

 コケナワは主にゲームを開発するベンチャーだが、災害用品の開発なども手掛けており、16年の熊本地震の際には携帯用トイレをいち早く現地に届けるなど、ボランティア活動に熱心な企業でもある。

 「ウクライナには経営者の友人がいます。大使館からお話をいただき、ぜひ力になりたいと思いました」とコケナワの苔縄義宗代表は語る。無償のボランティアとして、問い合わせ対応の自動化を目的とする独自のCRM(顧客管理)システムの開発に乗り出した。

 コケナワがウクライナ大使館に導入したシステムそのものは非常にシンプルなものだ。支援を希望する人が「支援の時期、内容、詳細」を登録するための事前登録フォームをウェブサイト上に構築。支援希望者が登録することで、過剰な物資や無駄な物資、対象外の物資を除外でき、必要な人に必要なものが届けられる仕組みである。一次対応をデジタル化することで問い合わせ窓口業務を大幅に削減することが望める。

 

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