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緊急宣言拡大でも3.4%成長へ 新変異株の影響懸念 大和総研・神田慶司シニアエコノミストに聞く

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 9月12日までの緊急事態宣言の対象地域に北海道や愛知県など8道県が追加された。ただ景気へのマイナス影響は限定的になりそうだ。大和総研は2021年度の実質GDP(国内総生産)成長率を3.4%とする見通しをまとめた。それによると、日本経済は7~9月期のプラス成長が確保でき、条件次第では今秋からの本格的な経済回復も期待できる。経済正常化が進む欧米中の需要回復が日本の輸出増を支えると予想する。それでも最終的なカギを握るのは、新型コロナウイルスのワクチン接種率と新たな変異株で、新たな対策は不可欠となる。大和総研の神田慶司・チーフエコノミストに聞いた。

経済損失は7~9月で5000億円か

 緊急事態宣言の対象は、東京などこれまでの13都府県から21都道府県に拡大した。大規模商業施設の入場整理の徹底、百貨店など業種別のガイドラインの見直しなどを要請する内容だ。ただ緊急事態宣言による経済損失は、発令する回を追うごとに縮小していると大和総研は分析している。対象地域や期間は異なるものの、昨春の第1回が約3.4兆円、今年1月からの2回目が約6000億円、4月から7月11日までの3回目を約5000億円と算出した。7月12日から9月12日までの第4回目は、対象地域が3回目より広域化したものの約5000億円にとどまりそうだ。

 4~6月期の実質GDP成長率は前期比年率1.3%(第1次速報値)だった。外食関連消費などが5月中旬から6月にかけて持ち直し、耐久財なども増加した。神田氏は「個人消費が当初の予想を上回って底堅く推移した」と分析する。サービス消費は1.5%の伸びだ。ただ人々の行動自粛に働きかける効果が薄れてきていることも示唆しており、必ずしも前向きに評価できないとしている。

 8月20日時点の予測で7~9月期は前期比年率1.6%を見込む。緊急事態宣言の下振れ分を上回る輸出や設備投資などの増加が寄与するという。とりわけ「海外の経済正常化の動きが進んでおり日本にとって良好な輸出環境が続く」と神田氏はみる。

 大和総研では21年の米国の実質GDP成長率を6.3%、ユーロ圏を4.6%、中国を8.8%と予想する。欧米は潜在成長率を上回る高成長率が22年も続き、中国の22年の成長率は感染拡大前の19年並みの水準に達する。

 米国ではワクチン接種や大規模経済政策を背景に内需が拡大しており、日本からの輸出は拡大しそうだ。主力の自動車は半導体不足や東南アジアでの感染拡大の影響を受けて短期的には伸び悩むものの、21年度後半にかけて回復ペースが加速するとみている。

 欧州も域内の多くの国で行動制限や入国制限が段階的に緩和されており、7~9月期から欧州向け輸出の持ち直しが本格化する見込み。中国向けにも半導体部品や工作機械などの中間財・資本財が緩やかな増加基調をたどると分析する。こうした海外経済見通しを背景に大和総研では21年度の日本の実質GDP成長率を3.4%、22年度を3.3%と予想している。

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