実践・営業デジタルシフト

デジタルシフトで企業改革を加速するJTB グローバルインサイト合同会社代表 水嶋玲以仁

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デジタルマーケティング×インサイドセールス

 ここからは、コロナ禍前から始まっているデジタルマーケティングへの取り組みの詳細を紹介していく。矢野氏が冒頭で触れたように、2019年6月には、顧客の購買プロセスの変化に対応していくために、デジタルマーケティング、インサイドセールスに力を入れ始めたというが、具体的にどのような施策を講じたのだろうか、八田氏に聞いてみた。

 「私たちが最初に着手したのは、メルマガ内容の改善、法人ウェブサイトのリニューアル、オウンドメディアの開設といった施策でした。

 メルマガは、これまでも定期的に配信していましたが、全てのお客様に同一の情報を配信するという取り組みに留まっており、コンテンツもソリューション情報がメインでした。そのため、より興味、関心を抱いていただけるように、産・官・学を中心にペルソナやカスタマージャーニーを再設計し、コンテンツの質と量の常時改善を実施しています。

 また、法人営業における情報発信、マーケティング施策の拠点として位置づけている法人ウェブサイトについては、2020年3月に大幅なリニューアルを実施しました。産・官・学の各サービスページの拡充や、実際のお取り扱い事例の掲載、漫画形式のホワイトペーパーなどにも力を入れており、『365日24時間、情報を配信し続けてくれる頼もしい営業担当者』となってくれるよう磨きをかけています。

 さらに、2020年8月には、オウンドメディア『♯ Think Trunk』を開設し、お客様の課題解決のヒントにつながるコンテンツを配信していくことで、継続的なお客様との関係強化にも注力しています」

 実際、先行してデジタルマーケティングとの連携を開始していたメディカル領域では、リアル営業の強みを活かしてデジタルチャネルからのリード獲得といった成果が出始めていると、藤原健太郎氏(マーケティング推進担当マネージャー)は語る。

 「メディカル領域のリアル営業に関しては、相当なレベルで展開してきましたが、そこに甘んじることなくデジタルマーケティングを加え、さらに営業力を引き上げようという発想がベースにあります。マーケティングチームと営業個所が協働しながら、コンテンツ、ウェブページをつくることで、品質の高い情報をお客様に届けられるようになりました。その効果は、リードの創出に加え、若手の営業担当者がイチから勉強し、習得するのを待つまでもなく、届けられた品質の高い情報をもとに商談に臨むことが可能となり、営業総量、顧客接点を増やすことができたことです。専門的なノウハウは各部署が持っているので、それをコンテンツ化して、デジタルマーケティングを掛け合わせることで、営業に厚みが生まれるというのもメリットの一つです」

 そして、デジタルマーケティングの強化と同時並行的に進めているのが、ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)戦略をベースとしたインサイドセールス機能の設置だ。2019年6月、法人ウェブサイト経由のお問い合わせ対応を実施してきた部署の機能を強化する形で、チームを組成したそうだが、PDCAを回している最中だという。

 「インサイドセールスに注力して気づいたことは、教科書通りの正解はないということです。弊社のように、営業個所主導のリアルな営業スタイルが確立していたり、お客様の課題に応じたソリューションを組み合わせて価値を提供する必要がある組織には、どのようなインサイドセールスが適しているのか、その答えは、様々なチャレンジを繰り返すなかで、確立していくしかありません。営業個所とのコミュニケーションを大切にしながら、改善を繰り返しているのが実情です」

 そう語る八田氏は、インサイドセールスが機能することで、これまで以上に、幅広い社員の活躍の場が生まれる可能性にも期待を寄せている。

 「旅行業の特徴の一つとして、添乗業務などの出張が頻繁に発生するため、介護や育児などを抱える社員にとっては、営業業務へ継続して従事することが難しくなるケースが少なくありません。インサイドセールス機能は、営業経験のある社員のポテンシャルを活かし、職域拡大にもつながるのではないかと考えておりますし、実際にそういった環境にある社員の配置も実施し始めています」

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