実践・営業デジタルシフト

ソフトバンクの成長戦略 企業や社会のDXを推進 グローバルインサイト合同会社代表 水嶋玲以仁

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成功の鍵は「再現性」

 では、西村氏のコメントにも登場したインサイドセールスの部門は、どのような活動をしているのだろうか。

 エンタープライズ領域の案件を創出して直販営業へトスアップするチームを統括している橋本 直樹氏は、2018年10月に原田氏と同じタイミングで法人マーケティング本部に異動するまでは、インサイドセールスに対して「問い合わせに対応する部署」といっイメージしか持っていなかったと言う。また、リテンション業務の経験を買われて上野氏からのオファーで合流し、年商50億円以下のSMBを対象に自己完結型のインサイドセールスを統括する杉本 薫重氏は、当初、インサイドセールスという言葉すら知らなかったそうだが、転機は異動の1カ月後に訪れることになった。

 「一気に変革しないといけないと感じたのは、異動の1カ月後に、急に『営業部門に変わる』と告げられたタイミングですね。それまではダッシュボードの案件管理やお客様対応の効率化といった業務を担当するという位置づけだったのが、利益を稼ぐことも重要な指標になったわけです。それまでは数字を意識している人はいなかったので、セールスフォースのツールを使って、すぐに実績の見える化を進めました。

 私のチームは、下は32歳から上は65歳、平均年齢48歳です。しっかりと数字に向き合ってもらえるように、さまざまな工夫をしました。毎日の実績をホワイトボードに書いて朝礼で読み上げたり、お菓子箱を用意して、『オプションを獲得したら、お菓子をゲット』というゲーム性を取り入れたり、小さなコンテストを実施したりと成功体験を積んでもらうための取り組みはなんでもやりました。

 そのときに注意したのは、メンバーと同じ視線で考えることでした。統括する立場だから偉いとかではなく、どうやれば一人ひとりが頑張れて、チームとして成果が上がるかというのを、日々観察しながら考えて、仕組みをつくっていったという感じです。

 2019年の上期からは、インサイドセールスとして取り組むべ内容や数字をMBO(Management by Objectives)に盛り込み、アクションが評価につながる仕組みにしました。MBOの期が終わってから数字をみて『あなたの成績はこうでした』と伝えるのではなく、リアルタイムで数字を確認できる環境もつくっています」(杉本氏)

 取材時に驚いたのは、ほぼゼロからスタートしたにもかかわらず、橋本氏のチームも、杉本氏のチームも目標の数字をクリアしている点だ。

 「目標の数字をクリアすることはもちろん重要ですが、いかに『型化』するかは常に意識しています。チームを持ち上げるわけではありませんが、かなり優秀なメンバーがそろっているので、個々の力という点では申し分ない。ただ、これから新しいメンバーが異動してきたり、新卒の人が来たりしたとき、すぐに対応できるかといえば、できない。ですから、セールス・イネーブルメント課とも連携しながら、優秀なメンバーの手法を再現性のある形にするためのマニュアル化にも取り組んでいます。また、私のチームは、基本的にすべての案件で直販営業に寄り添い連携する必要があります。そういった連携の仕方というのも、属人的になりがちな部分ですので、型化は必須だと感じています」(橋本氏)

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