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2兆円市場「物流のラストワンマイル」アプリで効率配送 207株式会社 再配達削減や時間短縮を支援

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 新型コロナウイルス禍により飛躍的に拡大したEC需要を背景に、物流業界には配送時間の短縮化などサービス水準の向上がいままで以上に求められている。そのカギとなるのは業務の効率化・省力化だ。そうした中、DX(デジタルトランスフォーメーション)による「物流のラストワンマイル(宅配)」の効率化を掲げる若い企業が注目されている。2018年に設立した207(ニーマルナナ)株式会社だ。

 同社代表取締役社長CEOの高柳慎也氏が事業を立ち上げる直接のきっかけとなったのは、サブスクリプション型収納サービスの企業での勤務経験だ。預けた荷物がいつでも取り出せることが売りのサービスだったが、預かった荷物をユーザーに届ける際の配送に時間がかかり、客から「荷物がすぐに届かない」という声も多かったという。こうした経験から、「いつでもモノがトドク」サービスの必要性を強く感じた。

物流ラストワンマイル担う個人事業主

 207株式会社を起業後、実際に自社で物流業を経験し浮かび上がってきた課題が、再配達の多さと物流現場でのアナログで属人的な作業だ。

 「物流のラストワンマイル、つまり最後の配送拠点から各受取人への配送は市場規模2兆~3兆円と言われています。しかし働く配達員の7割は成果報酬で請け負っている個人事業主なので、大手物流会社は配達の効率化に積極的に投資をしてこなかったという背景があります。いまだに紙の不在票や紙の地図を利用していたり、再配達では配達担当員が交替して情報が錯綜(さくそう)するなど、非効率的な状況が改善されずにいます」(高柳氏)

 そうした状況を改善するために同社が開発したのが「TODOCUシステム」だ。DXで荷主、物流会社、配達員の三方良しで物流のムダを省く。

 軸となるのが配達員用のアプリ「TODOCUサポーター」。受取人に対しSMS(ショートメッセージサービス)で荷物の情報を伝える機能を使い、在宅か不在か、置き配(玄関先などに荷物を置くサービス)の可否などを事前に確認し、再配達のムダを防ぐ。

 カメラで伝票を読み込むと情報が端末に取り込まれ、配達先を地図上で確認できる。受取人へのSMSもワンタップで送信が可能だ。

 これだけでも配達員の手間はかなり減ることになる。

 さらに「駐車位置」「チャイムを鳴らす回数」「宅配ボックスの有無」といった、配達先の物件や受け取り主についての現場情報をメモとして残すことができ、配達員同士で共有することもできる。アプリを使う配達員が増えれば増えるほど情報が蓄積され、進化していく仕組みだ。

 また、詳しい番地や建物名、戸別の表札情報を確認できるゼンリン地図(別途1600円/月の費用が必要)が搭載されているため、配達先を探す時間のロスを省くことができる。

 再配達が減少する分、多く個数を配送できるようになるため、収入アップにつながる例もある。

 実証実験の結果では、TODOCUサポーターの使用で88.9%の効率アップが見込めるという。つまり1時間あたりの配達個数にして、通常10個のところ18~19個配達できる計算になる。実際ある個人事業主からは30%収入がアップしたという声も寄せられているそうだ。

TODOCUサポーターはアプリをダウンロードするだけで無料で使用でき、1万人を超える配達員が利用している。

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