楽しい職場学

「笑い」はもろ刃の剣 リテラシー学び職場活性化を 西武文理大学サービス経営学部専任講師 瀬沼文彰

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笑い、負の側面自覚しメリット追求を

 しかし、笑いは、楽しさはもちろん、働く意欲やチームワークの向上にもつながる力を持っている。緊張感のある交渉のような場面でも役立つ。リーダーシップにも必要だし、プレゼンテーションでも人を巻き込んだり、どこかを強調したり、集中力を持続させたりするうえで利用できる。自分自身を覚えてもらったり、印象をよくしたりする効果もある。心理的安全性やそこから生じる安心感、笑うことでのストレスの軽減やポジティブで前向きな気持ちとも関係する。さらには、クリエイティブな発想や問題解決、組織内の生産性向上にもかかわることもある。

 だから、これからの時代は、笑いのメリットとデメリットをふまえて、この関係性ならこんな笑いが活用できると考えることが重要なのではないだろうか。同時に、この関係性ではこの笑いは言うべきではない、初対面なので分かりやすい笑いを用いてお互いの信頼関係を作ろう、笑っていない人もいるためフォローのひとことを付け加えておこう、といったことを考えながら会話をしていってみるというコミュニケーションの技術が誰にとっても必要な時代になっているというわけだ。

 そうした笑いのリテラシーを身につけることで初めてビジネスの場でのコミュニケーションに笑いやユーモアを用いることができるはずだ。例えば、組織内の人たち同士で協力するための笑いや冗談だったり、組織内の誰かの発言をフォローするための笑いだったり、誰かのミスや失敗をフォローし励ますための笑いなどはどの組織にもあるとありがたいものだと思う。

 このような笑いやユーモアをある程度コントロールできるようにするためには、学習が必要だと思う。これまで日本ではそういう機会はほとんどなかった。笑いやユーモアの学習を通し、日常生活や組織内の笑い、ユーモアをアップデートできることを期待したい。笑いを通して、組織内のコミュニケーションを改善させていくこともまた、働き方改革の1つで、楽しい職場にするために必要不可欠なことなのではないだろうか。そのような学習に本連載が何らかの形で役に立つと笑いとユーモアの研究者として大変うれしい。

瀬沼文彰(せぬま・ふみあき) 西武文理大学サービス経営学部 専任講師
日本笑い学会理事、追手門学院大学 笑学研究所客員研究員。1999年から2002年まで、吉本興業にて漫才師としてタレント活動。専門分野は、コミュニケーション学、社会学。研究テーマは、笑い・ユーモア、キャラクター、若者のコミュニケーション。単著に、『キャラ論』(2007、スタジオセロ)、『笑いの教科書』(2008、春日出版)、『ユーモア力の時代』(2018、日本地域社会研究所)など。

※この連載は今回で終了します。

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