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「デジタル人民元」は国際金融をどう変えるか? 大和総研の長内智氏・中田理恵氏に聞く

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日本、CBDC後発国の立場を逆手に戦略を

 一方、日欧米諸国は中国に比べ事実上1周遅れといって良い状況だ。FED(米連邦準備制度)はこの夏にCBDCを含むデジタル決済に関してパブリックコメントを実施する予定。欧州中央銀行(ECB)理事会は年内をメドにデジタルユーロ発行の是非について決定する。英国財務相とイングランド銀行は今春に共同で専門チームを補足させた。日銀は4月から実証プログラムを開始した。システム構築は日立製作所だ。

 長内智主任研究員は「CBDCの開発に前向きなのは金融インフラが不十分な新興国が多い。先進諸国では十分な金融サービスが行き渡っており、新システム開発を急ぐインセンティブに乏しい」と指摘する。先進諸国の銀行業界も民間発行のデジタル通貨でも十分サービスできるという考えだ。「民」で対応できる領域にむやみに「公」が介入すると経済成長の活力をそぎかねないとの考え方もある。

 長内氏は「デジタル円を急ぐ必要は無い。しかし中国の動向にはチェックが欠かせない」と強調する。デジタル人民元を足がかりに新たな付帯サービスを打ち出す可能性は小さくない。イノベーション促進にデジタル人民元を利用する可能性もある。「中国の先行事例を日本が応用できるケースは多いだろう」と長内氏はみる。

 さらに災害対策として有効な「オフライン決済」や高齢者でも利用しやすい「カード型決済」を、デジタル円に組み合わせることで金融サービスの質を高められるとしている。「日本はCBDC後発国の立場を逆手にとっての金融戦略が立案できるだろう」と長内氏は指摘している。

(松本治人)

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