BizGateリポート/技術

「デジタル人民元」は国際金融をどう変えるか? 大和総研の長内智氏・中田理恵氏に聞く

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 世界初のCBDC(中央銀行デジタル通貨)発行国はバハマだった。ただ国際金融マーケットへの影響は極めて限られる。そこで改めて関心が高まっているのが世界第2位の経済規模を持つ中国の動向だ。日本や欧米諸国がまだ初期の研究段階にとどまっている中、2022年の北京冬季五輪を念頭にデジタル人民元発行へ準備を進めている。中国がデジタル通貨の覇権を狙う背景を、大和総研金融調査部の長内智主任研究員と中田理恵研究員に聞いた。

8日差でバハマ「サンドダラー」が世界初

 バハマ中央銀行がデジタル通貨「サンドダラー」を発行したのは昨年10月20日。続いて同月28日にカンボジア国立銀行が「バコン(デジタル・リエル)」を導入した。カンボジアは日本のIT企業「ソラミツ」がシステム開発を担当し開発競争をリードしていたという。しかしNZIA社が開発に加わったバハマに直前で逆転されたようだ。

 サンドダラーは国内でのみ利用可能な通貨で現行のバハマドル(1バハマドル=約110円)と1:1で換金できる。利用者は、中銀が認可した金融機関のアプリを各ホームページからモバイル端末にダウンロードして「eウォレット」を開設する。西インド諸島に位置するバハマは人口約40万人。無人島からリゾート地まで700以上の島から成る群島国家で、現金の輸送、管理コストが課題だった。CBDCで決済コストの低減や金融インフラの整備を図る。

 来年2月にも試験的に発行を開始する「デジタル人民元」が世界3番目のCBDCになりそうだ。日本最大の貿易相手国でもあり、米中の覇権争いも絡む。先進諸国のノウハウをキャッチアップすることで高い経済成長率を維持してきた中国が、フィンテック分野では先行することにもなる。

 中田理恵研究員は「中国は長期の研究と大規模なパイロットテストを重ねてきた」と話す。中国人民銀行がデジタル通貨の専門研究チームを発足させたのが14年。深圳(セン)市や蘇州市での試行テストは5万~10万人の一般市民を対象として繰り返してきた。銀行法の改正も進行中だ。「デジタル人民元はリテール向け。人民銀行が発行し、中国の銀行が仲介して市民が利用する間接発行型となる」と中田氏は分析している。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。