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2025年にEV急拡大 中国テック企業が導く自動車革命 みずほ銀・湯進主任研究員に聞く

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 100年に1度の変革と言われる「自動車の電動化」の波が止まらない。特に新型コロナウイルスの感染封じ込めでいち早く立ち直った中国は、製造業強国に向け、自動車産業の振興を極めて重要ととらえる。CASE(つながる、自動運転、シェアリング、電動化)革命を加速させて世界の自動車産業の構造変革を促そうとしている。電気自動車(EV)では、既存メーカーのほか、スタートアップ企業が相次ぎ参入し百花繚乱(りょうらん)の状態。BATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)に代表されるテック企業もCASE分野に進出している。中国の自動車産業に詳しいみずほ銀行の湯進(タン・ジン)主任研究員は「テック企業が自動車業界の地殻変動をもたらす」と予測する。

 NIO、理想汽車、小鵬汽車…。中国ではIT系の新興EVメーカーが「百花繚乱」だ。これに既存の国営メーカーが加わる。中国政府は2035年に国内自動車市場が年3800万台になると見通す。このうち新エネ車(電気自動車・プラグインハイブリッド車、水素自動車など)の販売台数は1900万台と強気だ。中国がEVシフトを加速させる理由は3点あると湯氏は分析する。「中国での石油輸入依存度は20年に72%であることから、エネルギー安全保障上も、脱ガソリン車を加速させているからだ。第二に、自動車の排ガスはPM2.5の主な発生源であることから、大気汚染防止の観点から内燃機関車を増やせないからだ。第三に、中国企業にとって、内燃機関車で日米欧に追いつくのは難しいが、EVであれば遜色なく同じスタートラインに立てる」との見立てだ。

2025年、EV基幹部品コストが大幅減

 ただ、EVのさらなる普及への課題として、湯氏は「蓄電池のコストダウンや充電網整備が不可欠だ」を挙げる。さらに中古車価格の低下だ。「電池消耗が早いことや中古車測定システムの不備で、EV中古車は新車価格と乖離(かいり)が大きく一部消費者にEVが敬遠される一因となっている」と湯氏は指摘する。

 湯氏は「2025年がEV需要の急拡大が始まる分水嶺になる」と見通す。モーターや電池などのEV基幹部品では、需要増によって規格製品の大量生産が可能になり、大幅なコストダウンを見込めるからだ。「日本電産の永守重信会長は、2030年に自動車の価格は現在の5分の1になると予測するが、EVの大幅コストダウンが進めば決して誇張ではない」。

 中国のCASE革命について、湯氏は3つのステップを描く。EV普及が加速する1ステップ(2012~2025年)。2ステップ(2025―2030年)では、クルマのコネクテッド化、5Gやデータセンターなどのインフラ整備が進み、コネクティッド技術を備えた「スマートカー」が量産されるようになる。自動運転やシェアリングサービスが確立し、交通渋滞の緩和や事故の減少につながる。ステップ3(2030年~)では、プラットフォームで都市を管理・運営するIoT社会を実現させるスマートシティ社会の到来をめざす。

 中国のCASE革命では、BATHと呼ばれるテック企業がけん引しておりGAFAに匹敵するほどの存在感だ。バイドゥは人工知能技術やビッグデータ収集などで豊富なノウハウを持ち、21年1月には吉利汽車と共同出資でEVを生産すると発表した。シェアリング分野では、滴滴出行(ディディ)が配車サービスのスマート化を進める。テンセントは自動運転「レベル3」の開発に力を入れ、2025年には完全自動運転化をめざす。

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