コロナ倒産の真相

有名フィギュアメーカー イベントと中国生産中止でコロナ破綻 帝国データバンク 情報部

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 新型コロナウイルス禍が企業に大きな打撃を与えています。収束の見通しがつかないなか、破綻を余儀なくされた企業もあります。この連載では書籍『コロナ倒産の真相』(日本経済新聞出版)をもとに、新型コロナが企業にどう影響したのかを事例をもとに解説します。これを知ることは、今後また起きるかもしれない大きな変化への対応力を高めることにつながるはずです。今回はアニメ関連のフィギュア製作などを手掛けていたアクアマリンの事例を紹介します。

 アニメキャラクターのフィギュア(人形)製作販売やアニメグッズなどの販売を行っていた(株)アクアマリンが、2020年8月4日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けました。
 負債額4億6400万円と大きな倒産ではなかったですが、ネット上で大きな話題になるほど人気のフィギュアを扱っていました。もともと収益力に課題を抱える中で、新型コロナウイルスの影響が追い打ちをかけたのです。

順調に売り上げを拡大していったが

 アクアマリンはフィギュア製造を手掛けていた同人サークルのメンバーが集まり、2011年10月に東京都板橋区で創業。設立時から一定の顧客層を持って営業を始め、高品質のフィギュア製造を強みとしていました。東京商工会議所の板橋支部が認定する高度な技術を使った製品「板橋ファインワークス」に選ばれるなど、造形技術や企画力に定評がありました。

 大手ゲーム会社の配信する「艦隊これくしょん」の関連グッズも手掛け、ゲーム人気の高まりとともに14年9月期の売上高は1億円を突破。その後も缶バッジ、キーホルダーなど品ぞろえを広げて、新商品の開発でも売り上げを伸ばしていきました。

 アニメや映画にもなった「Fate」シリーズの商品は人気を集め、特にスマートフォンゲームに登場する剣士のフィギュアが大きく売り上げに寄与していました。16年9月期決算で売上高は前の期比30.5%増の約3億9000万円を計上。17年9月期には5億円を超えるまでになっていました。

収益性に問題を抱えていた

 ただ、売り上げ規模は拡大しても収益力に課題があり、内部留保の蓄積も進まずにいました。主力のフィギュアは開発から金型製作、製造、販売に至るまで相応の期間を要し、半年から2年にも及んでいたという。そのため売り上げが伸びる一方で、運転資金の需要も高まる格好になっていたのです。

 運転資金の調達に伴い、金融機関からの借入金は15年ごろに2000万円程度だったのが、19年9月期末には4億6700万円に増加。同期の支払利息は670万円となるなど財務内容の悪化が始まっていました。

 フィギュア事業が拡大すると、製造工程の緻密な管理や原価管理にも課題が出てきたという。高品質を追求するあまり、適切な販売機会を逃してしまったり、原材料価格の高騰分を販売価格に転嫁できなかったりして、倒産前の19年9月期は9500万円の営業赤字で債務超過に転落しました。同年の11月からは借入金に対する元本返済をストップしていたようです。

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