コロナ倒産の真相

名門レナウン 上場企業初のコロナ倒産はなぜ起きたか 帝国データバンク 情報部

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スポンサーが見つからず会社は消滅

 レナウンのように連結子会社から民事再生法を申し立てられる事例は極めて異例といえます。これについてレナウン側は「取締役会で民事再生の申し立ての決議を予定していたが可決に至らず、次善の策としてこのような形になった」とコメントしています。

 一部の関係者によると「取締役会でレナウンの取締役10名のうち、山東社派が過半数を超えており、取締役会で民事再生の議案が否決された」ようです。そのため最終的な切り札として、連結子会社でレナウンに対し債権を持つレナウンエージェンシーによる民事再生法の申し立てを行ったようです。

 通常の民事再生手続きはスポンサーが付き、民事再生の手続きが開始してもそれまでの経営陣が会社の経営や会社財産の管理を続けるケースが多いですが、レナウンのケースでは、裁判所が管財人を選任して、現経営者に代わってその管財人に会社の経営や財産の管理・処分をさせる「管理型」の手続きとなりました。

 再建の大きな鍵を握るスポンサー交渉は、買収スキームや譲渡代金で折り合いがつかず、包括的に引き受けるスポンサーは結局現れなかったのです。あるファンド関係者によれば、「新型コロナの長期化を見据えて見送った」とのことです。最終的にはブランドごとに適切な譲渡先に売却することが弁済率の最大化に資すると判断し、ブランドの売却交渉を進めることになったのです。

「アクアスキュータム」など主要ブランドの行方

 今後、破産手続き開始決定を受けるとレナウンという名門ブランド企業は消滅しますが、レナウンが生み出した「ダーバン」や「アクアスキュータム」などの主要アパレルブランドは存続し続けます。2020年9月30日に「シンプルライフ」と「エレメントオブシンプルライフ」事業を小泉アパレルに売却。また「アクアスキュータム」と「ダーバン」「スタジオバイダーバン」事業を小泉グループのオッジ・インターナショナルに譲渡しています。

(※)新型コロナウイルス関連倒産の定義
新型コロナウイルス関連倒産(コロナ関連倒産)とは、帝国データバンクが全国の事業者の倒産取材をする過程で新型コロナが倒産の一要因または主因となったことを当事者(社長や役員)または代理人(弁護士)が認めた場合、また、取引先への通知などにその旨の記載が確認できた倒産を指します。
帝国データバンク 情報部 著『コロナ倒産の真相(日経プレミアシリーズ)』(日本経済新聞出版、2021年)、「第1章 アパレル業界-大打撃なのに倒産は減少!?」から抜粋。転載にあたり一部編集しました。
帝国データバンク 情報部
1900年創業の民間信用調査会社。国内最大級の企業情報データベースを保有。帝国データバンク情報部は、中小企業の倒産が相次いだ1964年、大蔵省銀行局からの倒産情報の提供要請に応じるかたちで創設。情報誌「帝国ニュース」の発行、「全国企業倒産集計」などを発表している。

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