コロナ倒産の真相

名門レナウン 上場企業初のコロナ倒産はなぜ起きたか 帝国データバンク 情報部

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 新型コロナウイルス禍が企業に大きな打撃を与えています。収束の見通しがつかないなか、破綻を余儀なくされた企業もあります。この連載では書籍『コロナ倒産の真相』(日本経済新聞出版)をもとに、新型コロナが企業にどう影響したのかを事例をもとに解説します。これを知ることは、今後また起きるかもしれない大きな変化への対応力を高めることにつながるはずです。今回はアパレルの名門、レナウンの事例を紹介します。

 「ダーバン」「アクアスキュータム」「アーノルドパーマータイムレス」「シンプルライフ」など多くのブランドを展開する(株)レナウンは、東証1部上場のアパレル名門ブランドとして高い知名度を誇っていました。
 しかし、中国のグループ会社からの多額の未回収金問題を抱えるなか、新型コロナウイルス感染拡大による資金繰り悪化で、2020年5月15日に国内子会社に民事再生法の適用を申し立てられ、上場企業で初となるコロナ関連倒産(※)となってしまいました。
 その後、再建に向けてスポンサー探しに奔走したものの、コロナ禍の影響もあって条件面で折り合わず、グループでの再建を断念したのです。申立人が連結子会社という異例な道をたどった裏で、何が生じていたのでしょうか。

一時は世界最大のアパレル企業に成長

 レナウンの歴史は、佐々木八十八氏が1902年2月に創業、第二次世界大戦を経て47年9月に再発足した旧レナウンから始まりました。ワンサカ娘やアラン・ドロンのインパクトあるCMがお茶の間に定着し、「アーノルドパーマー」が一世を風靡。飛ぶ鳥を落とす勢いで90年12月期には年売上高約2317億6500万円をあげ、世界最大規模のアパレル企業に成長しました。

 しかし、バブル崩壊、百貨店不振、基幹・戦略ブランドの凋落により2004年1月期の年売上高は約591億5500万円に減少しています。経営再建を迫られ、グループ会社のダーバンと経営統合をしました。2006年にレナウンとダーバンを吸収合併し、レナウンに商号を変更しています。

中国親会社との関係悪化

 近年はファストファッションやECサイトの台頭で、業績が低迷。2010年7月には当時中国で8位の繊維商社だった山東如意科技集団有限公司(中国山東省、以下、山東社)に対して第三者割当増資を実施し、同社が41.52%を保有する筆頭株主となりました。さらに2013年にも第三者割当増資を実施し、山東社グループが保有するレナウン株式の持ち株比率は53.35%に上昇。一時は連結業績で黒字化を達成しましたが、以降は業績の悪化に歯止めがかからず、山東社との関係性に陰りが見えるようになっていました。

 こうしたなか、山東社の子会社である恒成国際発展有限公司(香港、以下、恒成社)に対する売掛金が2019年12月期に回収できず、貸倒引当金組入額53億2400万円を計上し、83億900万円の営業損失の計上を余儀なくされる事態に陥りました。恒成社のレナウンに対する債務は山東社が保証していたものの、債務の大半が返済されず、資金繰りが急速に悪化しました。

 実は同時期に、親会社の山東社は海外アパレルブランドのM&Aで債務が重荷となり、取引先との間で支払いの遅れや訴訟トラブルを抱えていたのです。レナウンは中国の親会社からの支援も得られず、グループ間の資金繰りに支障をきたしはじめていました。

業績悪化に新型コロナが追い打ち

 2019年は台風による店舗休業や記録的な暖冬で冬物衣料の販売不振に苦戦し、2020年2月以降は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う店舗休業で売り上げが大幅に減少、4月の売上高は前年同月比81.0%減に落ち込んでいました。加えて緊急事態宣言の発出によって休業や営業時間の短縮で資金繰りに窮し、経営危機を迎えていたのです。

 手元の現預金は4月末時点で6億9800万円まで減少するなか、5月15日を期限とする支払手形8700万円に加え、5月中旬から下旬にかけて約34億800万円の支払いが必要でした。危機的状況のなか、中国の親会社からの支援もなく、金融機関に融資を打診するも借入契約の財務制限条項への抵触を理由に融資を受けられず、5月15日に連結子会社であるレナウンエージェンシーから民事再生法を申し立てられ再建手続きに入りました。

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