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「AIの不備」どうカバー? 富士通・JCBの挑戦 AI経営のリスク管理 寺嶋正尚・神奈川大教授に聞く(2)

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 日常の商品管理からマーケット戦略の決定まで、人工知能(AI)は企業経営のあり方を大きくバージョンアップさせそうだ。ただAI自体は、まだまだ発展段階の技術だ。AI経営に詳しい寺嶋正尚・神奈川大学経済学部教授は拙速な導入を戒めるとともに、導入後の運用面でも「AIの不備に対しては必要に応じて人間が介在するシステムを構築するなど技術的なリスクマネジメントが欠かせない」と話す。

AIと人間のチェックを組み合わせた異物混入検査

 ――多くの企業が現場や市場調査などでAIシステムを利用しています。しかし導入前に品質や安全性、情報漏洩の恐れなどキメ細かくチェックし、自社における確かな位置づけが必要と繰り返し述べていますね。

 「AIは非常に高価なので、どのようなシステムで、どのようなセキュリティーが施されているか、導入前の念入りなチェックが必要なことは言うまでもありません。さらに導入後に関しても、経営者は細心の注意を払って、リスク管理をしなければなりません。技術的な視点から考えると(1)人間の不備をAIがカバーする(2)AIの不備を人間がカバーする(3)AIの不備をAIがカバーする、4)AIの不備をAI以外の技術でカバーするーーの方向があります」

 ――(1)のケースはAI導入の目的そのものですね。工場現場で最後まで自動化が難しかったのは出品前の目視検査です。しかし最近は急速に力をつけたAIの画像分析で不良品や食品の異物混入がチェックできるようになっています。

 「1つの不良品が企業の信用問題に関わってくるので、精度のレベルを引き上げるのは当然です。ただレベルが高すぎると、わずかな色や形の違いなどで、品質上問題ないものも異物混入と判定してしまいます。AIがNGを出した製品をそのまま不良品とするのではなく、ベテラン社員が改めて判断する2段階の検査体制を導入することなどが現実的でしょう」

 「AIを経営に活用する際の問題のひとつは、バックアップや災害対策に対する配慮を見落としがちだということです。一般のシステムに関しては、故障が起きた際には対応マニュアルが用意されています。しかしAIはブラックボックス化されている部分が多く、何かあった時の対応を事前にマニュアル化しておくことが難しいのです。クラウド上で稼働させるにしても、事業者がデータ紛失まで補償しないケースなどが考えられます。ユーザー企業はデータのバックアップなどをこまめに行っておく必要があります。障害に備え他の代替システムへの切り替えテストをしておくことも必要です」

 「AIの導入では、特定の企業に依存してしまう『ベンダーロックイン』の状況を避けることも重要です。他の開発企業に上手にスイッチできる状況にしておくことも人間の果たすべき役割です」

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