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「ドラゴン桜」桜木が教えるただ1つのこと 非認知能力、社員教育にも 中山芳一・岡山大准教授に聞く

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 話題のテレビドラマ「ドラゴン桜」(TBS系)は、偏差値の低い高校生たちを元暴走族の弁護士・桜木建二(阿部寛)が東大合格へと導くサクセスストーリーだ。経営破綻寸前の高校を再建するべく、桜木らが「東大専科」の生徒とともに奮闘する。ドラマ中の受験ノウハウは、実は企業の新人研修や内定した学生の入社前研修にも参考になる。教育方法学の中山芳一・岡山大准教授は、桜木が学生相手に行っていることと同様に「若手社員の能力を高めるには意欲といった非認知能力に働きかけることが欠かせない」と話す。

意欲、自制心、共感性、コミュニケーション力……

 ――「ドラゴン桜」の視聴率が好調です。さまざまな悩みに直面する学生らと大人の思惑・裏切りが絡んで盛り上げています。近著の「東大メンタル 『ドラゴン桜』に学ぶ やりたくないことでも結果を出す技術」(共著、日経BP)では、優秀でない学生でもトップレベルに到達することは現実に十分可能と解説していますね。共著者の西岡壱誠氏は原作マンガ「ドラゴン桜2」(講談社)に情報提供するプロジェクトリーダーで現役東大生です。

 「『ドラゴン桜』のメインテーマは受験テクニックの伝授ではなく、学生の主体的なやる気をどう引き出すか、やる気をどう具体的に成果に結びつけるかです。企業社会にも通じるでしょう。非認知能力を高めることが重要なポイントです」

 「テストの成績や知能指数、英語力など数値化できるものが認知能力。対して意欲、自制心、共感性、コミュニケーション力など数値化が困難なものが非認知能力です。主体性を持つことも非認知能力のひとつです」

 ――ドラマでは繰り返し「自分の人生だ。お前が決めろ」というセリフが出てきます。東大を目指す動機も「立派なラーメン屋になるためでもいい。東大に行く意味の答えは自分でつかめ」と語っています。

 「どんな形でも良いからまず『自分はこうしたい』という目標を立てて、そのために前へ進むことが主体性であると考えています。自分で決めたことだから逃げないし、やりたくないことも一定の段階までは頑張ることができる。目標実現へどこから手を付けるべきか、モチベーションをどう継続するか、あと一歩の段階での戦略をどう組み立てるか――などを考えるのも非認知能力です」

 ――企業社会では否定的にとらえられる場合もある「言い訳」もドラマではアッサリ認めています。勝者の言い訳と敗者の言い訳があると学生に説いています。

 「自分の認知活動を客観的にとらえるメタ認知です。勝者の言い訳はミスした状況を深く自己分析し、改善できる方法を徹底的に考え、次に生かすことができます。たまたま不運だったとか、他人のせいにするのは生かせません」

 ――認知能力と非認知能力は密接な関係があると指摘していますね。

 「『ドラゴン桜』で主人公の桜木建二が指導していることは、非認知能力をどう高めるかの働きかけに尽きています。これまでの国際的な教育分野の研究から非認知能力には認知能力を支える役割があることが明らかになっています。学生でメンタルの力が強ければ学力も上がりやすい。ビジネスパーソンならば高いパフォーマンスを可能にします。しかし逆に認知能力が高ければ非認知能力も高いという相関関係にないことも分かってきています」

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