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大豆ミート、SDGs背景にミレニアル世代が支持 市場拡大策 不二製油に聞く

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 環境配慮や健康意識から大豆など植物由来の成分を加工した「代替肉」への関心が高まっている。市場拡大への課題や今後の見通しを大豆ミートの開発に60年以上取り組んできた不二製油に聞いた。

フードテック元年の2020年に注目高まる

 「フードテック元年と言われる2020年を境に、代替肉への注目が一気に高まったという印象を持っています。それに伴い、大豆ミートを採用した商品も増えてきています」

 同社事業部門管掌・開発企画推進室の福田彩香氏は大豆ミートの市場について、こう説明する。

 植物性油脂や業務用チョコレートのメーカーとして知られる不二製油は1950年の創業以来、大豆由来の食品を研究・開発し続けてきた。大豆を原料とした油脂の製造過程で生まれる、搾りかす(脱脂大豆)を活用するための研究から始まったという。2代目社長西村政太郎氏の「将来必ず人のためになる」という信念から始めたもので、当時から世界の人口爆発による食糧不足を予測していた。「孫の代になれば分かる」と、採算がとれないながらも長期的な視点で研究を続けてきた。そうしたこれまでの取り組みが今、実を結んでいる。

 大豆の加工食品にはさまざまな形状があるが、大豆ミートとして使用されるのが「粒状大豆たん白」という製品。この粒状大豆たん白の国内シェアで同社は5割を占める。色、形状、食感などが異なる約60種類を展開しており、飲食店やコンビニエンスストアで扱う調理品のほか、総菜、菓子類などの素材として広く販売している。

 大豆ミートとしての粒状大豆たん白の品質は近年大きく向上しており、チキン、ポーク、ビーフといった肉の種類や、薄切り、ひき肉など肉の形状も本物の肉のように再現できるようになった。牛丼風として用いられている製品もあるという。ただしステーキのようなかたまり肉の再現は難しく、まだ技術が追いついていないそうだ。

大豆特有の味は取り除く

 大豆ミートの開発で非常に苦労したのが、大豆特有の青臭い味や香りを取り除くことだった。

 「大豆を原料とした食品では、大豆の味を残すのか、まったくなくすのか、二通りの好みがあります。そして現在のニーズの主流は後者です。お肉の代わりとするときに、大豆の風味がどうしても料理の邪魔をしてしまうということで、好ましくないとされる傾向にあります」

 このように、大豆ミート需要の高まりと技術向上による品質アップで、大豆ミート市場は拡大してきている。日本植物性蛋白協会の調べによると、2010年の粒状大豆たん白の国内生産量は2万3560トンだが、19年には3万3297トンに。そして20年には3万6046トンに伸びた。

 市場拡大が期待される一方で、日本ならではの食文化がブレーキをかける可能性もあるという。

 「大豆を使った製品は日本では昔からなじみがあります。豆腐や油揚げ、がんもどきなど、栄養価が高くしかも安い、節約食材というイメージが定着しています。そのためどうしても低価格を求められるところがあります」

 つまり、肉と同じか、あるいは肉より高いお金を払ってまで、肉の代替食品を食べることの価値を感じてもらう必要がある。

 また国内における肉の消費量は増えてきたと言っても、アメリカ人の半分程度。「肉を食べ過ぎているから大豆ミートに置き換えよう」という志向も起きにくい。

 ただし、好材料もある。

 「大豆ミートはとくに、ミレニアル世代と呼ばれる若者に受け入れられていると考えられます。若者世代ではSNSが普及していることもあり、海外の情報を手に入れやすい。その分海外の影響を受けやすく、SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みなどにも関心が高いわけです」

 なぜSDGsへの関心が大豆ミートにつながるのか? 一つには、肉を植物由来のたんぱく質に置き換えることで、大量の穀物と水を要し、環境に高い負荷を与える食肉生産を減少していこう、という考え方がある。また人口増加に伴う食糧不足も予測されている中、資源を枯渇させない、「持続可能な食材調達」が、世界的に大きな課題となっている。

 こうした考え方から、「地球環境や社会のために肉食をやめる」というスタイルが認知され始めている。例えば、週に1回は植物由来のたんぱく質を食べるなど、この考え方を食習慣に取り入れる動きもある。菜食が基本だが、肉や魚も柔軟に食べる「フレキシタリアン」という嗜好が生まれており、米国のみならず日本においても、ミレニアル世代に増えている。このことも、大豆ミートの市場拡大には大いに関係しているだろう。

 そして、大豆製品の低カロリー、低糖質の良質なたんぱく源でヘルシーという特徴は以前からよく知られているところだ。今流行している低糖質ダイエットでも、米や麺類を減らしたんぱく質を積極的にとることが奨励されている。

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