カーボンニュートラル実現のための水素実装

水素社会へ グローバル連携 日経社会イノベーションフォーラム(上)

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 脱炭素化で日本が世界に先駆けるには、水素エネルギーのいち早い社会実装が鍵になる。5月11日にオンライン開催した日経社会イノベーションフォーラム「カーボンニュートラル実現のための水素実装」で産官学のキーパーソンが、グローバル連携で水素バリューチェーンを広げる提言を交わした。

[挨拶] 日本の技術 世界に 5つの戦略

経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長 茂木正氏

 菅義偉首相が世界に宣言した「2050年までのカーボンニュートラル実現」で水素が果たす役割は大きい。電力部門のゼロエミッション化、非電力部門の脱炭素化、既存の化石燃料のクリーン化と有効利用を可能にする。日本は17年に世界初の水素基本戦略を策定するとともに、18年から日本主導で水素閣僚会議を毎年開催し、水素分野でのグローバル連携をけん引してきた。近年各国でも水素戦略の発表が相次ぎ、技術的にも競争が激化している。昨年末に策定したグリーン成長戦略の中でも水素は、カーボンニュートラル実現の鍵を握る重要分野の一つだ。

 水素社会実現に向けては、水電解による水素製造、国際サプライチェーンの構築、モビリティー、発電、産業の5つの戦略分野で技術開発と社会実装を推進する。例えば、オーストラリアの未利用褐炭で製造する液化水素を活用した国際サプライチェーン構築の実証が進んでおり、今年秋ごろには豪州から日本に液化水素を輸送する世界初の実証を行う予定だ。発電分野では、将来的には日本の技術をアジアの国々にも輸出し世界の脱炭素化に貢献する。

 50年を見据えて挑戦すべき課題は多い。水素閣僚会議も活用しながらグローバルな連携をさらに広げ、水素社会実現に向けた取り組みを加速していく。

[自治体講演] 今後10年で「カーボンハーフ」を

東京都知事 小池百合子氏

 世界はコロナ禍の脅威と同時に気候変動という大きな危機に直面している。都は「TIME TO ACT」を合言葉に、未来に向けた行動を加速するムーブメントを展開している。世界の二酸化炭素(CO2)排出を2050年に実質ゼロにするため、3月に「ゼロエミッション東京」の実現に向けた戦略をアップデートした。とりわけ重要になるのが、今後10年間の行動。30年までに都内の温暖化ガスを50%削減するカーボンハーフを掲げ、あらゆる分野の脱炭素化行動を加速する。

 ゼロエミッション東京戦略では、再エネ由来のCO2フリー水素の本格活用が大きな柱となる。そのためには足下の水素需要拡大が重要。身近なエネルギー供給のインフラとして不可欠な水素ステーションについて、国の補助に都が上乗せして鋭意整備を進めている。現在、都内には21カ所の水素ステーションがある。既存のガソリンスタンドなどでの併設や急速充電器の設置を図り、マルチエネルギーステーション化も支援していく。都内で新車販売される乗用車は、30年までに100%非ガソリン化する。国内外で水素ビジネスを展開する企業とも連携を深め、首都圏から水素の需要と供給の大幅な拡大を図る。

 まさにいまは行動のとき。産官学共に手を携え、水素社会、脱炭素社会を実現していく。

[基調講演] 進む商用化 資源輸出も視野に

東京工業大学 特命教授・名誉教授 柏木孝夫氏

 約140億年前、ビッグバンで最初に宇宙に現れたのが水素で、地球上では酸化した水の形で人類に与えられた。再エネ電力による水の電気分解に加え、化石燃料などを改質して水素を取り出し活用する技術にも期待が集まっている。

 カーボンニュートラルに向け、再エネ電力で車などを駆動する電化社会と、水素を燃料にした水素社会の2つの流れがある。グリーンイノベーション基金の2兆円のうち3700億円が水素関連に付けられた。海外から大量に水素を運び国内で発電に使う大規模な施策に3000億円、福島県浪江町のプロジェクトをはじめ地産地消の施策に700億円など、水素の商用化がこれから本格化する。

 世界各国も一挙に走り出した。米国は2030年にCO2排出量の05年比半減を掲げる。欧州連合(EU)はタクソノミー(環境配慮型事業か分類)を行い、高い目標を示してグリーンマネーを呼び込むビジネスモデルを作っている。日本の強みはやはり技術だろう。例えば自然エネルギーが豊富な国に水素を加工する技術を提供して安く作ってもらい、液化して運ぶなど、日本が水素というエネルギー資源の輸出国になれる可能性も秘めている。産官学一体で科学を総合工学的に達成し、新しいエネルギーインフラを構築する重要な時期に差しかかっている。

水素コスト低減へ 供給・用途 両輪で拡大

[企業講演] FCVの利便性向上支える

日本水素ステーションネットワーク 社長 菅原英喜氏

 JHyM(ジェイハイム)は、普及初期の水素モビリティー用インフラの整備を支える目的で誕生した。燃料電池車(FCV)が普及し、水素ステーションがビジネスとして自立する社会の実現をめざしている。

 菅首相の宣言以降、水素ステーションを設置したいとの問い合わせが増えた。国や当社からの補助もあり、2020年度には政府目標の160カ所をクリアした。その一方で構造的な問題も顕在化している。

 FCVの普及は4万台という目標に対して5千台。この差が問題で、設置数は目標を達成したが、利用するFCV台数は大幅に下回っているというのが実情だ。また、国の補助金対象となる経費ベースでみると、19年時点の水素ステーションの整備費は1件約3.3億円、運営費は年間約3100万円と、高止まりしている。しかもガソリン価格を意識した水素の価格では粗利も取れず、構造的な赤字体質から抜け出せていない。

 トヨタ自動車の調査ではFCVの課題は2つ。まず近隣や行きたいところに水素ステーションがなく、しかも営業時間が短いという不便さ。もう一つは取得・保有・走行のトータルコストの高さだ。水素ステーション設置については、当面は大都市での密度を上げて営業時間延長など地域限定で利便性向上を図りたい。加えて購入時の補助、高速料金や駐車料金優遇といった政策も必要になる。

 これまでは先行的に水素ステーション設置を進めた。今後は水素モビリティーの未来図を明確に描き、それに合う設置を進める段階に来ている。

[自治体講演] エネルギー供給 構図変える

川崎市長 福田紀彦氏

 川崎市は「ものづくりの街」。従業員1人当たりの製造品出荷額は21大都市中45年間連続首位を続ける。同時に環境問題解決の先進都市でもある。経済と環境の両立が評価され、2019年「SDGs未来都市」に選定されている。当市は20年2月に「50年の脱炭素化」を宣言し、11月には脱炭素戦略を策定した。

 当市の臨海部は首都圏の一大エネルギー供給拠点。多くの発電施設があり、石油精製も行う。ここが水素エネルギーの拠点となることで日本のエネルギー供給の構図が変わり、世界にインパクトを与えるだろう。

 臨海部ではすでに水素を多様な用途で活用しており、パイプラインでネットワーク化されている。これらを生かして先進的な取り組みを推進中だ。例えば千代田化工建設をはじめ次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(AHEAD)と連携した水素サプライチェーン構築モデルでは、ブルネイで調達した水素をメチルシクロヘキサンに変換して海上輸送し、製油所内で発電利用する実証を行った。港湾施設の川崎マリエンでは東芝エネルギーシステムズと連携し、太陽光発電で水素を製造して貯蔵、燃料電池(FC)で使うシステムを設置した。

 このほかにも多くのプロジェクトが進行中で、水素の利用拡大、供給量拡大、価格低減の好循環を、川崎市から生み出していく。さらに今後、水素エネルギーの供給拠点や炭素循環を柱とする川崎臨海部の将来構想について検討を進める。引き続き企業や省庁などと連携し、新たな取り組みに挑戦していく。

[自治体講演] 水素社会、福島で実現

福島県知事 内堀雅雄氏

 福島県では、東日本大震災と原発事故からの復興をめざすとともに、「再生可能エネルギー先駆けの地」の実現に向けた推進ビジョンを作成した。2040年をめどに県内エネルギー需要の100%相当量を再エネで生み出す目標を掲げている。

 再エネ発電所を接続するための送電線の整備をはじめ、住宅用太陽光発電設備や蓄電設備の導入補助、公共施設などでの自家消費型の再エネ導入、スマートコミュニティーの構築など様々な取り組みを進めてきた。その結果、福島県の再エネ導入実績は、19年に34.7%となり、中間目標として設定した20年度末40%の達成に向け着実に推移している。

 今後は、再エネの効率的な利用やカーボンニュートラルの達成などに向け、水素エネルギーの果たす役割が極めて重要になる。浪江町に開所した世界最大級の水素製造実証の場である福島水素エネルギー研究フィールドを拠点として、水素社会のモデル構築をめざす。現在、FCVなど水素利用モビリティーの普及と水素供給インフラの整備を両輪で進めているほか、20年6月からは県有施設などにFCを設置しており、多くの人に水素を身近なものと感じてもらい、使ってもらう社会にしていきたいと考えている。

 福島県は、震災と原発事故で未曽有の複合災害を経験した。だからこそ、安全・安心で持続的に発展可能な社会づくりをめざしている。今後も再エネの導入拡大と、水素社会の実現に向けたモデル構築など、未来を切り開くための取り組みを続けていく。

[自治体講演] 「港湾」舞台に脱炭素推進

神戸市長 久元喜造氏

 現在、水素利用に関する2つの実証事業を進行している。神戸空港のある空港島での水素サプライチェーン構築実証事業(HESC)は、オーストラリアの未利用褐炭から液体水素を製造、川崎重工業建造の運搬船で空港島まで運ぶ。荷揚げ施設を整備し、輸送・貯蔵・利用を一体化したサプライチェーンで大量の水素の安定供給を図る。

 もう一つがポートアイランドで行っている水素エネルギー利用システムの開発実証事業。プラント周辺には住宅、ホテル、病院などがある。市街地での水素発電事業は世界的に珍しく、海外からの視察も多い。

 また、当市の港湾を舞台に水素利活用を拡大する。具体的には、ポートアイランドのコンテナ施設でクレーンやフォークリフトといった荷役機械をFC駆動にする。2つの実証事業とともに水素の利活用を推進し、神戸港を港湾の脱炭素化モデルとしていく考えだ。

 戦前からの国際港湾都市として、水素利活用でも国際連携を進めている。ドイツのハンブルク市とは、環境と経済の両立をめざす再エネや水素の利活用という点で共通した目標を確認し合っている。北海油田の拠点港を有するスコットランドのアバディーン市とも、水素利活用や再エネに関する知見の共有などを進めている。同市の仲介で世界的な自治体ネットワーク「ワールド・エナジー・シティーズ・パートナーシップ」に日本の自治体として初めて加盟した。

 エネルギーに関する先進的都市間ネットワークをさらに広げ、日本の各都市とも知見を共有していきたい。

[企業講演] 製造、発電利用を着実に推進

Jパワー(電源開発) 取締役常務執行役員 笹津浩司氏

 当社はカーボンニュートラルと水素社会の実現に向け「Jパワー ブルーミッション2050」を2月末に公表した。再エネなど二酸化炭素(CO2)フリー発電の促進、電力ネットワークの増強・安定化と石炭からのCO2フリー水素製造・発電からなる。「加速性」と既存設備に価値を付加して利用する「アップサイクル」を重点項目に掲げた。

 また「Jパワージェネシスビジョン」では、ガス化、ガス精製とCO2分離・回収をコア技術と位置付けている。長崎県西海市の松島火力発電所のアップサイクルも計画中だ。既設の石炭火力にガス化設備を付加し、水素を含むガスで発電。電力の安定供給と経済合理性を両立させながら、水素社会への移行を後押しするねらいだ。

 水素製造では2つの取り組みがある。大崎クールジェンプロジェクトでは、石炭ガス化複合発電、CO2分離・回収、石炭ガス化燃料電池複合発電の3段階の実証試験を実施中。水素を含む石炭ガスを用いて、高い運用性と高効率発電を達成している。HESCは、オーストラリアに未利用のまま存在する褐炭から水素を製造し、液化して日本へ海上輸送する実証。当社は褐炭のガス化・精製から高純度の水素製造までを担当し1月に水素製造を開始した。商用時にはCO2フリー化が必須となるため、炭鉱近辺でオーストラリア政府が推進するCO2貯留プロジェクトと連携予定だ。実現すれば日豪両国にとってウィンウィンとなる。総力を挙げて水素社会の実現、SDGsに貢献していきたい。

[企業講演] 国内の需要創出が不可欠

岩谷産業 取締役常務執行役員水素本部長 津吉学氏

 当社では1941年から水素の事業を開始し、H1ロケットへの液化水素供給、燃料電池車(FCV)向けの水素ステーション建設にもいち早く着手した。2006年には日本初の商用の液化水素工場を建設し、水素の国内販売シェアは約70%、液化水素のシェアは100%という実績がある。原料調達・製造・輸送・供給を自前で行っているのも強みになる。

 海外で水素を作り輸送する大規模水素サプライチェーンの構築には、国内需要の創出が欠かせない。発電をメインに考えて輸送、鉄鋼業などを開拓していく。水素ステーション事業も拡大し、4月現在で日本に53カ所、米国でも4カ所を買収して事業を開始した。海外からの水素供給ではHySTRAやHESCに参画。これとはまた別に、オーストラリア企業2社とグリーン水素製造・液化・輸入事業化に向けた検討を開始し、30年の商用化をめざす。国内では廃プラスチックからの水素製造にも取り組んでいる。焼却せざるを得ない部分を分解して水素を製造。家畜のふん尿、食品廃棄物からバイオマスガスを作り水素を製造することも検討中だ。さらに北海道の褐炭を利用した水素製造も検討している。30年までの水素需要を賄うとともに、その後のエネルギーセキュリティー向上や、エネルギーの地産地消を進める意味を持つ。

 昨年、水素の社会実装に向けた動きを加速するため、水素普及のための業界団体「水素バリューチェーン推進協議会」を発足させた。今後の水素社会の構築・拡大のために連携して取り組んでいく。

[企業講演] 国産グリーン水素製造進む

東芝エネルギーシステムズ 水素エネルギー事業統括部ゼネラルマネジャー

佐薙徳寿氏

 カーボンニュートラル宣言以降、水素利用を巡る動きが活発化している。グリーン成長戦略が策定され、昨年12月には水素バリューチェーン推進協議会が発足。現在は195社が参加している。今年3月にはグリーンイノベーション基金が公表され募集を開始。水素燃料電池戦略協議会も昨年11月以降頻繁に会合している。

 カーボンニュートラルの実現には再エネを最大限導入する必要があるが、再エネは不安定で余剰電力の調整が必要な場合もある。この余剰電力を使って水素を製造することが重要だ。

 日本は2050年にCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げた。その達成にはエネルギー転換部門だけでなく、産業や運輸、業務、家庭などあらゆる部門で水素利用が鍵となる。

 昨年福島県浪江町に世界最大級の水素製造設備を完成させた。Power to Gas(PtoG)により電力系統の需給バランス調整を行い、再エネ活用でCO2排出量削減に貢献する。国産のグリーン水素製造でエネルギーセキュリティーの向上も期待できる。

 新たな事業としてPower to Chemicals(PtoC)、つまり回収したCO2と水素で燃料や化学製品を製造することも検討する。当社にはCO2を電気分解でCOに転換する技術に加えてFCの量産化技術もあり、CO2電解装置の実用化も可能だ。船舶や電車などの移動体用FCモジュールの開発も始まった。

 水素社会への転換はもはや「期待」では済まない状況。産官学一体で、全力で取り組む。

[企業講演] 輸送・貯蔵技術開発に貢献

川崎重工業 常務執行役員水素戦略本部長 原田英一氏

 世界的に水素利用計画が加速している。日本のグリーン成長戦略ではCO2フリー水素は2030年に100万トン、50年には国際取引量5500万トンとしている。この実現には水素を大量、安価かつ安定的に供給できる国際サプライチェーンの構築が重要だ。水素の大量輸送では、液化天然ガス(LNG)同様に冷却して容積を800分の1に減らし、専用の運搬船で運ぶ。当社はLNGで培った技術で大型の液化水素タンクや水素運搬船の開発を進めてきた。液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」は1250立方メートルのタンクを搭載し水素75トンを輸送できる。現在、国内で航海試験など各種試験を実施し、今年度後半にはオーストラリアから液化水素輸送を行う予定だ。輸送された水素は神戸液化水素荷役実証ターミナルに荷揚げされる。こちらもすでに完成し、試運転、運搬船との接合試験を行っている。水素利用に関しては、水素ガスタービンを搭載した熱電併給システムの実証試験を神戸の市街地で行っている。

 課題は商用利用のための大型化だ。商用化の運搬船では4万立方メートルのタンクが必要で、4基搭載すれば1回で1万トン以上の水素を輸送できる。次の実証船では推進機関にも水素を利用してCO2フリー化を図っていく。また陸用のタンクでも既存のLNGタンクを水素用に適合させるなど、鋭意新しい技術開発に取り組んでいる。

 これまで国の支援を得て、多くの企業と共に水素利用の技術開発、実証試験を行ってきた。今後も連携を深めて水素社会実現に貢献したい。

[企業講演] 化石燃料は水素を運ぶ乗り物(キャリア)

石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC) 理事長 細野哲弘氏

 カーボンニュートラルに向けて、燃焼させても二酸化炭素(CO2)を排出しない水素やアンモニアが、電力にも熱源にもなる理想のエネルギー源として注目されるのは当然である。しかし水素は2次エネルギーであり、利用可能なH2という形では自然界にほとんど存在しない。水を電気分解するなど、ほかの何かから作る必要がある。

 再生可能エネルギーでの電気分解で作るグリーン水素や製品の製造工程で発生する副生水素などは、量的・コスト的に課題も多い。決して短くないしばらくの間、化石燃料を改質して生成時に発生するCO2をCCS(CO2回収・貯留)で処理するブルー水素の利用が現実的だ。化石燃料を水素の「乗り物=キャリア」として活用することで、カーボンニュートラル実現へのシナリオにも幅が生まれる。

 当機構が手掛けてきた石油の増進回収を行う「CO2EOR」という技術は、CO2を圧入する点でCCSと親和性が高い。今後、石油や天然ガスの開発でCCSのパッケージ化が求められるほか、クレジット制度によりCCS自体が固有の価値を持つ可能性もある。CCSの技術的支援に加えて、評価・認証するためのスキームづくりについても貢献していきたい。

 日本で中心的に利用されてきたエネルギーは変遷してきた。産業構造、社会構造が変化する中で、日本で使えるエネルギーをどう確保するかが重要だ。当機構ではカーボンニュートラル実現に貢献すべく、海外地熱開発の可能性やレアメタル等金属資源の安定供給なども含めて包括的に取り組んでいく。

[企業講演] ゼロエネをビルから街区へ

清水建設 常務執行役員 エンジニアリング事業本部長/LCV事業本部副本部長

関口猛氏

 当社はこれまで太陽光、風力発電施設の建設を通じて再エネ分野に携わってきた。さらに、間伐材利用のバイオマス、小水力などを含む全国22カ所で再エネ発電事業にも取り組んでいる。これらの実績をベースに、グリーン水素の製造や利活用についての取り組みも行っている。大分県九重町で地域の地熱と木質バイオマスを利用する水素製造技術の開発および実証を行う。来年3月に実証プラントを完成する予定だ。

 建物でのグリーン水素利用では、2016年度から産業技術総合研究所と共同で研究開発を進め、建物付帯型の水素利用システム「Hydro Q‐BiC(ハイドロキュービック)」を開発した。

 太陽光などの再エネ電力で水素を製造し、建物内設置に適した独自の吸蔵合金に水素を貯蔵、必要に応じて電力に変換する仕組みで、すでに郡山市総合地方卸売市場内での実証も行ってきた。他の地域からグリーン水素を輸送、急速充てんしてシステム運用する実証も行う予定だ。5月に完成した当社の北陸支店新社屋にもハイドロキュービックを実装し、エネルギー消費を実質ゼロにするZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)として、運用開始とともに一般向けにも展開していく。

 まずは建物単体をZEBとして、水素利用も組み込んだエネルギーの最適制御をスマート化する。さらに、今後の水素サプライチェーンの拡充も踏まえて、複数の建物が多様なエネルギーを相互に連携して実質ゼロエネルギーを実現する街区づくりに広げていきたい。

主催:日本経済新聞社、日経BP

後援:経済産業省、東京都

メディアパートナー:FINANCIAL TIMES

協賛:清水建設、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、川崎重工業、東芝、岩谷産業、Jパワー(電源開発)

特別協力:三菱地所

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