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内定者の入社意欲高めるタイプ別フォロー 内定フォロー(2)ビジネスリサーチラボ代表 伊達洋駆

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 学生に内定を出す企業。しかし、辞退率の高さを悩む声は多く聞かれます。このコラムでは、オンライン採用において内定フォローをうまく進める方法について解説します。

内定者の志望度を高める要因

 内定者に限らず、候補者となる学生の志望度を上げる要因は、主に2つあります。一つは「企業」にまつわる要因、もう一つは「人」にまつわる要因です。

■企業にまつわる客観的要因

 企業にまつわる要因は、専門的には「客観的要因」と呼ばれます。客観的要因には賃金、福利厚生、仕事の種類など「仕事」に特有の要因と、企業イメージ、規模、職場環境、勤務場所、親しみやすさなど「組織」に特有の要因が含まれます (※1)。

 要するに、どのような会社か。入社したら、どのような環境で、どのような仕事をするのか。こうした情報を得ることで、学生の志望度が高まるというのが、客観的要因の意味するところです。

 企業にまつわる客観的要因が大事になる理由は、シンプルです。候補者は、自分が入社した後の環境や、そこで取り組む仕事に関心を持つため、客観的要因を求めるのです(※2)。

■人にまつわるクリティカル・コンタクト

 候補者の志望度を高める2つ目の要因は、「人」にまつわる要因で、これは「クリティカル・コンタクト」と呼ばれます。候補者は就職活動を通じて、採用担当者をはじめ、多くの従業員に会います。候補者が会った従業員の特性や行動が、候補者を惹きつける要因となります。

 候補者にとって、就活中に会う従業員は、その企業を代表する存在です(※3)。従業員の様子や振る舞いを見て、企業や仕事のことを推論します。例えば、温和な従業員からは穏やかな社風を想像します。

 つまり、従業員が企業や仕事の「シグナル」になるのです。就活において、候補者が企業や仕事の特徴を十分に把握できず、企業間の比較を行いにくい場合、候補者はクリティカル・コンタクトの影響をより強く受けることが分かっています(※4)。

キャリアの見通しの有無で内定者をタイプ分け

 自社の内定フォローでは、「企業」にまつわる客観的要因と、「人」にまつわるクリティカル・コンタクトのうち、どちらに力を入れれば良いのでしょう。そのことを考える上で、参考になる切り口を提案します。

 筆者の経営するビジネスリサーチラボでは、10年にわたって、企業をクライアントに内定者調査を提供しています。その中で、一つ分かったことがあります。それは、「キャリアの見通し」を持っている学生と、そうではない学生へのアプローチ方法は分けた方が良い、という点です。

 ここで言うキャリアの見通しとは、入社後にどのような目標を持ち、何を達成したいと考えているかを指します。学術界では「キャリア・パースペクティブ」という呼び方もされています(※5)。

 「私は○○業界の△△という仕事につき、10年後にはおよそ□□のような人材になっていたい」と考える学生は、キャリアの見通しを持っていると言えます。他方で、「入社後の目標などは特に定まっていない」というのは、キャリアの見通しを持たない学生です。

 「キャリアの見通しを持っていないとダメ」というわけではありません。特に日本型雇用をとる企業は、入社してみないと、どのような仕事をするのか分からない面があります。また、学生のほとんどは、正社員としての就労経験がなく、働くこと自体のイメージが付きにくい状態です。

 こうした中で、キャリアの見通しを持たない学生がいたとしても、不思議ではありません。それどころか、入社後に自身のキャリアに関する柔軟性をあえて残す、合理的な方法の一つとも考えられます。

 更に、昨年から新型コロナウイルス感染症の影響を受け、採用のオンライン化が進んでいます。就活における社会人との関わりの中でキャリアの見通しについて考えてきた学生にとっては、一層将来を描きにくい環境にあるのかもしれません。

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