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オンライン採用 なぜ内定辞退が多いのか 内定フォロー(1)ビジネスリサーチラボ代表 伊達洋駆

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内定者が求めるのは説得ではなく情報

 内定フォローで内定者を説得するのが得策ではないとすれば、どうすれば良いのでしょう。この問いへの答えを得るには、学生の「行動原理」を知る必要があります。

 少し専門的な言葉を用いると、就活中の学生は「不確実性低減理論」にもとづいて行動します。不確実性低減理論はもともと、人と人が初めて会った後に何が起きるかを説明する理論でした (※3)。

 不確実性とは、相手に関する情報が少なく、相手の行動を予測しにくい状態を指します。例えば、「自分がこう振る舞えば、相手はこう振る舞うはず」といった予測がつかないのが不確実性です。

 人は不確実性が高い環境に置かれると、不確実性を下げようと努力します。これが、不確実性低減理論の意味するところです。

 不確実性低減理論は、採用の文脈で考えると、よりイメージしやすくなります。ある学生が就活を通じて、ある会社(A社)と出合ったとします。学生は初めのうち、A社のことをほとんど知りません。

 A社ではどういう人が働いていて、何が大事にされているのか。自分がA社に入ったらうまくいくのか。こうしたことが予測できず、学生は不確実性が高い環境にいます。

 学生は自分を取り巻く不確実性を下げるため、「受動的戦略」「能動的戦略」「対話的戦略」という3つの方法で、A社に関する情報を集めます(※4)。

(1)受動的戦略:A社の従業員と直接は話さず、彼ら彼女らが話す様子を観察します。例えば、A社の人事と役員が話しているのを見て、A社の風通しの良さを予測します。

(2)能動的戦略:A社の従業員と直接話をせずに、A社に関する情報を積極的に収集します。大学の先輩にA社の評判を聞いたり、口コミサイトをチェックしたりします。

(3)対話的戦略:A社の従業員と話をして情報を得ます。A社で働くOB・OGを訪問したり、A社の人事と話したりするのが、その例です。

 学生が不確実性低減理論にもとづいて行動することを考えると、内定後の学生が企業に求めるものが見えてきます。それは、自分に対する「説得」ではありません。入社後の自分を想像するための「情報」を欲しているのです。

 その意味で、内定フォローを進める上で重要なのは、「内定者をいかに説得するか」ではなく、「自社の情報をいかに伝えるか」という点なのです。

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