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安心して「ボケ」られるか? 良い職場の条件に 西武文理大学サービス経営学部専任講師 瀬沼文彰

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 このような広い意味での「ボケ」は、芸人の槙田雄司(マキタスポーツ)さんの著書『一億総ツッコミ時代』のなかで、紹介されているものに近いのかもしれない。彼は、日本社会が「ツッコミ過多」、「一億総ツッコミ時代」だととらえ、「ボケ志向」「ツッコミ志向」ということばの定義を下記のようにまとめた。

 「ツッコミ志向」とは、「なんでやねん!」という行為のことだけを言っているわけではありません。自分では何もしないのに他人がすることについて批評、ときに批判することを指します。
 一方の「ボケ志向」は、主体的に、主観的に行動する人の考え方です。「自分の人生の主人公は自分である」ことをきちんと人生で体現できている人。他人の視線を気にせず何かに夢中になることのできる人。ただ面白いことや変わったことを言う「ボケ」ではなく、自ら何かを行動に移して、他人の視線を気にせずに前に進み続ける人のことです。

 コミュニケーションが重視されればされるほど、私たちは他者の目を気にして一般的なことばかりを言いがちだ。批判されることを恐れ、思ったことがあっても言いにくくなってしまう。まさに、閉塞感漂う社会だ。組織をそのようにしてはいけないと思うが、気が付くと、こうした空気がいつの間にかまん延してしまっていることも多い。

 自由な発言ができているかどうか、それは中にいるといつの間にか分からなくなってしまう。それを判断するために、組織内の笑いというフィルターを通してみることで、見えることがあるのではないだろうか。そんな意味では、誰もが広い意味での「ボケ」ができるような組織づくりは日本の組織の課題なはずだ。そのための第一歩は余裕さを持つことだと思う。また、それを実現するためには多くの人の笑いやコミュニケーションへの意識の改革も必要そうだ。これらが実現すれば、日常生活や組織から新たな笑い文化や笑いの方程式も生まれてくるのかもしれない。同時に、世界的にも引けを取らないクリエーティブな発想が今以上に出てくるのではないだろうか。

瀬沼文彰(せぬま・ふみあき) 西武文理大学サービス経営学部 専任講師
日本笑い学会理事、追手門学院大学 笑学研究所客員研究員。1999年から2002年まで、吉本興業にて漫才師としてタレント活動。専門分野は、コミュニケーション学、社会学。研究テーマは、笑い・ユーモア、キャラクター、若者のコミュニケーション。単著に、『キャラ論』(2007、スタジオセロ)、『笑いの教科書』(2008、春日出版)、『ユーモア力の時代』(2018、日本地域社会研究所)など。

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