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グーグル・リクナビ…AI活用に教訓 導入前の注意点は? AI経営のリスク管理 寺嶋正尚・神奈川大教授に聞く(1)

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 人工知能(AI)経営への関心が高まっている。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず不透明な経済環境が続く中、ビッグデータなどを課題解決策や経営判断に生かす仕組みだ。経営者にとって武器になるとの期待は大きい。一方で万能に見えるAIもミスが日米で多く報告されている。寺嶋正尚・神奈川大学経済学部教授は「AI経営を導入する前にまずサービス内容から運用、倫理問題に関するリスクを少なくとも15項目はチェックしてほしい」と拙速な導入に警鐘を鳴らしている。

 ――新型コロナの感染拡大で、日本の企業社会でデジタル革命が加速しています。どの業種でもAIを利用したビジネスモデルを追求しています。

 「AIは我々の日常生活の一部になりつつあります。現在は、1950年代の認識・推論を軸とした第1次ブーム、80年代に音声認識、専門家の仕事を再現するエキスパートシステムが開発された第2次ブームに続く第3次ブームが起きています。今回のブームのキーワードは機械学習、ディープラーニングです」

マーケティング戦略策定やふるさと納税の受入額予測も

 ――外資系コンサルタント企業が昨年実施した調査では、日本でAIを活用する企業は43%にのぼり、PoC(概念実証)はしたが実際の業務では活用していない企業が41%でした。

 「AIの定義は、実は企業や研究者によって様々なので一概にはいえません。もしかしたら、もっと導入されているかも知れません。医療分野における画像による診断支援、接客サービスのコールセンター業務、自動運転、銀行における融資の審査業務などでは先行して導入されています」

 ――企業の業績を直接左右する経営判断といった分野への普及はどう進みますか。

 「例えば私が専門とする流通分野を例にあげると、様々な業務にAI が活用され始めています。ターゲット市場の選定に始まり、商品・価格・プロモーション・流通戦略といった様々なマーケティング施策に利用されています。需要と供給の状況に応じて価格を変動させるダイナミック・プライシングなどは、まさにAI が得意とするものでしょう」

 「以前勤務していた大学院のゼミで、指導している学生が、都道府県を除いた1741市町村を対象に『ふるさと納税受入額の予測』をAIで試みる研究をしました。これが実に精度が良く、従来のように試行錯誤を繰り返して、当てはまりの良い予測式を作り出す作業がウソのようでした。しかもそれが一瞬でできます」

 「ふるさと納税受入額を説明する変数としては、自治体の人口、位置、返礼品の価格別アイテム情報、ふるさと納税ポータルサイトの利用情報など様々なものがあります。AIではこれらを一気に投入して、高い精度の予測式を作り上げてくれる。研究でもビジネスでも、これからの時代はAI の活用がどんどん進んでいくと思います」

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