楽しい職場学

職場を変える「雑談」の魔力 4つの心得 西武文理大学サービス経営学部専任講師 瀬沼文彰

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アドバイスではなく共感を

 3つ目に、雑談のなかでは、たとえ相談をされたとしてもアドバイスをして終わるのではなく、共感程度のほうがいい。雑談として言ってみたことなのに、アドバイスになると、相談をした側は業務の一環なのかがわからなくなってしまう。雑談は雑談として終えるべきだ。

 4つ目に、「この人にはこの話題」というように、毎回同じ質問で雑談を仕掛けないことも大切だ。例えば、猫を飼ってるAさんには毎回猫の話題、パソコンに詳しい部下に毎回雑談のテーマにパソコンを選ぶということだ。確かに、いざというときの話題としてはいいのかもしれないが、毎回同じ話題だと回答する側も次第に言うことがなくなってしまう。また、同じ質問を何度もしてしまうと、相手は話を聞いてもらえていない、覚えてもらえていないと感じ信頼関係にも関わってくる。これが多いと組織内全体の雑談が避けられがちになってしまう。

 とはいえ、部下からすれば、話しかけてくれることや話をリードしてくれていることに対し、上司の側も色々と考えた上で雑談を投げかけているのかもしれないと考えておくことは重要だ。また、自慢話のように聞こえても、じっくり聞いてみると面白さや役立つ話がちりばめられているかもしれない。そのため、聞く気をすぐになくしてしまうのは間違いだ。たかが雑談と思わずに、効率化が重視されて減少気味な雑談を少しだけ、ゆとりをもって大切にしてみると職場に楽しさが生まれてくるのではないだろうか。繰り返すが、そこには自然と笑いもついてくるはずだ。

 雑談では、相手が期待、予期できる範囲内で話が淡々とまじめに進んでいってしまうことが多い。だが、笑いをどこかで作るためには、笑いが生まれる要因でもある予期からのズレや意外性が重要になる。雑談のどこかで自分なりの変化球を投げてみる。そこに自分らしさがあるとなおいいだろう。さらには、日ごろから短めのエピソードをたくさんためておくことができるとどんな話題にもエピソードで返すことができる。エピソードはオチなどなくてもどこかで自分らしさが出るものだ。そういう話は広がりやすいし、聞いていてオリジナリティーがあるので飽きない。効率化されていく組織のなかで、雑談の位置付けを改めて何か考えてみてはどうだろうか。

瀬沼文彰(せぬま・ふみあき) 西武文理大学サービス経営学部 専任講師
日本笑い学会理事、追手門学院大学 笑学研究所客員研究員。1999年から2002年まで、吉本興業にて漫才師としてタレント活動。専門分野は、コミュニケーション学、社会学。研究テーマは、笑い・ユーモア、キャラクター、若者のコミュニケーション。単著に、『キャラ論』(2007、スタジオセロ)、『笑いの教科書』(2008、春日出版)、『ユーモア力の時代』(2018、日本地域社会研究所)など。

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