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元リクなぜ強い?リクルートで学ぶ「圧倒的当事者意識」 ニット広報/オンラインファシリテーター 小澤 美佳

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全員で「リクルート」をつくり上げる

 どの会社にもその会社ならではの文化があるだろう。リクルートが他社と異なるのは「全員が取り組んでいる」ということだ。一人ではなく、全員が文化をつくっていく姿勢であり、その意識が特に強いのではないかと私は考えている。

 「文化とは口癖である」と言われるが、目指したい組織像をあらわす言葉が流行り、全社員がそれを言うようになって、初めて、文化がつくられるのだと考えている。リクルートの文化をつくる意識醸成のための「口癖」を私なりにまとめたのでいくつか紹介したい。

■リクルートの口癖■

(1)お前はどうしたいの?
(2)じゃあやってみれば?
(3)圧倒的当事者意識
(4)仕事の報酬は仕事
(5)視座を上げろ
(6)お前のWILLは?
(7)何目的?
(8)考え抜いたの?
(9)無言の奴に会議出る意味ない
(10)相手の心に火をつけろ
(11)昨日を超える
(12)自ら機会を創り出し機会によって自らを変えよ

◆自ら行動できる人へ

1、圧倒的当事者意識

入社時から「君はどうしたいの?」と問われ続ける。そして「じゃあ、やって」と任される。これにより、自分で思考し、最終的に、自分が動くことになる。当事者意識を持たざるを得ない状況を新人時代から繰り返しつくってもらい、トレーニングされてきた。「当事者意識は後天的に身に付く」ということを私自身が経験した。

2、会議で発言しない人は次回から出なくていい

会議は建設的な議論の場である。新入社員であっても、発言をしない人はいなかった。一人ひとりが主体的にその会議に挑み、自分の意見を発言し、「そもそも、目的なんだっけ?」「課題は?」「どのように進める?」とみんなで着実に推進していく。リクルートの会議はいつも緊張感と高揚感があふれるものだった。

◆自分自身で成長できる人へ

3、WILL CAN MUSTシート

これはリクルートマネジメントにおける真骨頂だと考えている。「WILL=3年後・この仕事で成し遂げたいこと」「CAN=得意なこと・苦手なこと」「MUST=今期のミッション」これらについて、本人と上長がそれぞれ意見を書いていた。そして、半期ごとに成果を、四半期ごとには進捗を報告する面談があった。私がマネージャーの時は、毎月面談をしていた。「会社から言われたから」という受け身な仕事ではなく、「自らやりたい」と思っていることを仕事を通じて実現していくことが、やる気を引き出す重要なことだと考えさせる文化だ。

4、達成は通過点

毎日、日報(部・チーム・個人の達成率やランキング)が届き、自分の現在地を否が応でも、知らされる。ただ、目標は通過点。熱い思いをもって、自分の意思目標といえる「アスピレーション目標」を立てて、達成率が140%など、会社から設定された目標以上を目指していた。これにより、目標の達成は通過点となる。

◆会社全体がチームであり、仲間

5、人材開発委員会

マネージャー以上が、メンバーの成長計画をブラッシュアップし、日々のマネジメントや最適な配置などを丸1日かけて議論する会だ。また、年に2回の評価も評価会議で議論していた。自分だけではなく、他のグループのマネージャーからのアドバイスや考え方を聞くことで、マネージャーの育成にもつながっていた。

6、チームの相互理解

メンバーの幼少期、家庭環境、学生時代の過ごし方、子どもの頃の夢などをチームのみんなで、徹底的に深堀りをし合い、価値観の源泉となるものをシェアし合うことで、相互理解につなげる場を設けていた。これにより、判断軸や好き嫌いなどが分かるようになり、コミュニケーションが円滑になる。また、あだ名で呼び合う文化もリクルートならではだろう。最初の自己紹介で、あだ名が決まる。社長も部長もあだ名で呼び合うフランクな関係性だ。

7、良い意味で、お節介

皆、とにかく忙しい。それでも、質問に行って、1聞いたら10返ってくる。更には「〇〇ちゃん、ちょっと困ってそうだね。話聞こうか?」「〇〇くん、あの態度しちゃうのは、もったいないな。こういう言葉を使った方が良いよ」など、とにかく、皆、良い意味でお節介だ。そこに愛があるからこそだなと思う。

◆成果をあげたら「圧倒的に褒める」

社長からのメッセージや表彰、各部の戦略や振り返りをする場であるキックオフは豪華で大胆なものだった。年に4回のキックオフはグランドプリンスホテル新高輪(東京・港)の「飛天」など、有名なホテルや大きな会議室で行われた。社長メッセージ、MVP表彰、HRアワード(各部署の価値ある仕事発表の大会)、トップガン(各社からのイノベーティブな仕事発表の大会)など、リクルートの表彰方法は独特だ。

とにかく、「褒める」ということに対しても、「圧倒的に褒める」という雰囲気だった。MVPで表彰されるメンバーは壇上に立って、まぶしいほどのスポットライトを浴び、赤いマントをまとって、大きなトロフィーをもらう。この仕事の価値や日々の感謝をみんなの前で発言する。

下で見ているメンバーとしては、壇上に立つ人に憧れと嫉妬の気持ちを持ち、いつか自分も壇上に立ってスポットライトを浴びたい!と思い、更にはこれが自分たちの仕事の価値なんだと再確認できる。また、「表彰する人=経営のメッセージ」なので、会社の方針として、どういう人を褒めるのか、ということも重要だということを学んだ。

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