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変異株流行・ワクチン遅れならマイナス成長 神田慶司・大和総研シニアエコノミストに聞く

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 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ情勢が激しく揺れ動いている。緊急事態宣言に準じた「まん延防止等重点措置」の適用対象は12日の東京、京都、沖縄の3都府県からさらに拡大する見通しだ。一方、ワクチンの高齢者向け接種も各地で始まった。大和総研は2021年度の実質国内総生産(GDP)成長率をプラス3.7%、22年度を同2.3%と見込む。ただ、21年度後半から22年度にかけて経済活動の正常化が進むことが前提。感染力の強い変異株が流行し、ワクチン接種ペースも遅れる場合は「21年度の経済成長率はマイナス0.7%へと大幅に悪化する」(神田慶司・大和総研シニアエコノミスト)と予想する。第1次補正予算の規模やあり方も、日本経済再生の重要なポイントとみている。

 政府が大阪、兵庫、宮城の3府県に続いて追加した3都府県への適用は、期間を京都・沖縄が5月5日まで、東京が5月11日までと設定した。

 措置の適用地域は、知事が特別措置法に基づいて飲食店に営業時間を午後8時までに短縮するよう要請・命令できる。従わない場合は20万円以下の過料を科すことができ、時短要請にこたえた店舗には協力金を支払う。飲食店にはマスクを着用していない客の入店拒否やアクリル板などの設置を求める。感染防止策をとっているかを確認するため、飲食店への見回りを実施する。イベントの入場上限は5千人としている。

 これに先立つ1月8日から2カ月半の緊急事態宣言では、実質GDPへの影響はマイナス2.2兆円程度だったと神田氏は分析する。1~3月の実質GDP 成長率は前期比マイナス5.1%と落ち込むが4~6月は同プラス4.8%まで回復する見込みだ。個人消費への悪影響が比較的小さく、輸出が景気を下支えする形。ただワクチンの普及ペース、変異株、第1次補正予算の3ポイントが今後の経済活動を左右すると神田氏は指摘する。

 これまでにない感染症への「切り札」と期待の目が向けられているワクチンの普及ペースは、6月最終週で週当たり全国160万人(2回の接種を終えた人数)まで拡大し、22年3月末までに接種率は50%を超えると予想されている。ただ神田氏は「接種の開始時期は欧米に2カ月ほど遅れたうえ、開始後の接種ペースもかなり遅い」と話す。ワクチンの供給不足で日本への出荷が遅れることなどの可能性も残る。

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