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くら寿司、入店から会計まで「非接触」に 年内全店導入

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AIが店全体の“腹具合”予測

 ここでの商品管理には2つの意味がある。一つには、一定時間が経過した商品と新しい商品を入れ替える鮮度管理。もう一つは、いつ頃、どんな商品をどれぐらい出せば、店全体が効率よく回せるかという製造管理だ。

 「つまり、店全体の“腹具合”を予測するわけです。客単位で見ると、入店してしばらくはとにかく食べる。少し落ち着いてきたら、好きなネタ、おいしそうなネタをじっくり吟味します。最後にデザートなどに目が向きますね。このようにAIの予測のもと製造を管理します。またAIは客が選ぶ商品のデータを都度取り込んで学習し、商品の流し方を毎週変えていきます」(岡本氏)

 例えば「極み熟成まぐろ」をできれば2皿食べたいと思ったとする。その気持ちを読み取ったように、入店してすぐに熟成まぐろが次々と目の前を流れてくる。こんな具合に、客は商品をじりじりと待たなくて済み、店にとっては廃棄ロスが削減できる。従来、熟練の従業員が客を見ながらやってきたことを、AIが代替しているわけだ。

 また、レーンを流れているもの以外は卓上のタブレットか自分のスマホで注文するが、注文品は上方にある専用のレーンで飛ぶように運ばれ、注文したテーブルで止まるようになっている。できたてのおいしさをそこなわないためだ。

 食べ終わった皿はテーブルの隅にある回収ポケットに投入。水流によって洗い場に運ばれる。積んだ皿で食べた量が分かるのが恥ずかしい、という声から発案されたシステムだそうだ。コロナ下では、接触機会低減、省力化というメリットが大きい。

 会計も、注文内容がレジと同期されているので、セルフレジでスムーズに終了する。

 ほかにも、客の目には見えないが、人の手の握り具合に近づけた「寿司ロボット」など、随所で機械による省力化が行われている。しかしだからと言って従業員を削減するという方向には向かわないのが、同社の方針だという。

「機械に任せられることは任せる」

 「機械に任せられるところは任せ、人は人にしかできないことに目を向けます。例えば、テーブルの上を早く片付け、早く次のお客様を案内できるようにする。これもお客様のストレスを減らすことにつながります。入店2日目のアルバイトでも一人前に働け、店長は労務管理に集中できるなど、人材確保面での効果も大きい」(岡本氏)

 完全非接触でコロナ禍に強いことが注目されるが、実は、かゆいところに手が届くような“おもてなし”を目的としたシステムであることが分かる。

 抗菌カバー「鮮度くん」、注文時のタブレット・オーダー専用レーンはすでに全店舗に導入されている。入店時のタッチパネル、自動で皿の数をチェックするセルフチェック、セルフレジの導入率は全体で75%程度という。この3つの仕組みに関しても今年中に国内全店舗で導入し、来店客の安心感向上につなげる。

 来店客に安心してすしを食べてもらい、もっと注文したいと思ってもらうとともに、従業員の働く環境も改善する。くら寿司はコロナ時代に対応した新たな回転ずし店の姿を模索しているようだ。

(ライター 圓岡志麻)

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