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くら寿司、入店から会計まで「非接触」に 年内全店導入

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 新型コロナウイルスの感染拡大による外食控えや自粛要請の影響で飲食店が打撃を受ける中、健闘しているのが「すし、焼き肉」だ。たまの外食はぜいたくをしたいという気持ちがあるうえ、すしは調理技術が難しく、焼き肉は煙が出たり、においが部屋についてしまうという理由から、いずれも家庭で再現するのが難しい料理であることも要因のようだ。

 回転ずしチェーンのくら寿司は、2020年12月から21年2月の業績はコロナの影響で低迷したものの、3月には既存店売上高がコロナ前の水準まで回復した。コロナ下でスマホ予約、皿回収システムといった店員と来店客の接触を極力減らす同社独自システムが来店客に安心感を与え、客足の回復を後押ししている。

入店から会計まで一貫して非接触

 受付案内機やAI(人工知能)による製造管理など、機械による省力化・業務効率化を業界でも先駆けて行ってきた同社。コロナ下の20年10月にはセルフレジの開発により、入店から会計まで店員と非接触で利用できるシステムを完成させた。こうした非接触サービスを標準装備した店舗を改めて「スマートくら寿司」と位置づけ、21年中に全店スマートくら寿司への切り替えを実現する予定だという。

 皮切りとして20年11月に東京の郊外にある東村山店(東京都東村山市)を、そして21年1月には同店初の東京都心店となる渋谷駅前店と西新宿店を「スマートくら寿司」としてオープンした。

 その渋谷駅前店の例から、同社のスマート店舗の取り組みについて紹介する。

 くら寿司渋谷駅前店は渋谷の地下鉄出口に直結するビル7階にある。同店を訪ねたのは平日12時頃ということもあって、案内待ちのウエーティングがかかりにぎわいを見せていた。

 同社広報担当によると、同店は時間帯にかかわらず、午後いっぱいウエーティングが絶えない繁盛ぶりだという。客層も、場所柄から20歳代と思われる若者がほとんどだ。同社は全国約480店舗の9割がロードサイドで、主要ターゲットはファミリー層だから、渋谷駅前店は既存店とはかなり趣が異なる。

 「これまでも都心部に出店して欲しいというお客様からの声はあったが、都心で駅前は空き物件がない。コロナの影響で撤退したお店があったから、当社もオープンできたところがあります」(くら寿司取締役広報宣伝IR本部長の岡本浩之氏)

 都心は家賃が高い分値上げをしており、例えば110円(税込み)の「極み熟成まぐろ」は渋谷駅前店では121円で提供している。しかし車での来店が中心のロードサイド店に比べてアルコール受注が2~3倍など、立地の違いによるメリットは大きい。

 同店のにぎわいの理由は立地の便利さだけではない。非接触システムによる安心感はもちろん、ITで実現したスムーズな案内・対応なども高評価につながっている。

 入店すると、まずはタッチパネルで受け付けを行う。満席の場合は待ち時間などが表示されるが、スマホから事前に予約をしておくとスムーズに入店できる。席があくと番号で呼び出され、店員と接触することなく席に着くことができる。

 なお、「タッチ」パネルではあるが、実は画面に接触しなくても画面に指をかざすだけでセンサーが読み取ってくれる。接触による感染リスクをここで一つ減らしているということだ。

 次にレーンを流れてくるすしを選ぶ。一つひとつに装着されている抗菌カバー「鮮度くん」は、空中を舞うホコリや菌、乾燥などからすしを守るもので、皿を持ち上げると蓋があく仕組み。搭載されたICチップで商品内容が確認でき、最後に皿を数えなくても都度、会計が分かるようになっている。

 さらにレーン上に設置されたカメラが蓋の開閉を感知して商品管理も行う。

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