BizGateリポート/人材

ベトナムの有名日系ピザ店「4P's」 コロナ下の進化と真価 都留文科大学教授 佐脇英志

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

急性難聴乗り越え「アワード」受賞

 できることはすべてやった。激動の1年の間、常に前向きに取り組んできたが、激変した環境に追い詰められ、眠れない日が続いた。結果、急性難聴で10日間入院を余儀なくされた。左耳は今でもほとんど聞こえないという。「左耳を失って、人はいつ死んでもおかしくないことを肌で感じた。通常(健康)でいられることが、どれだけありがたいことなのか、今ここにあること全てに、感謝して生きていきたい。右耳が聞こえるだけでどれだけありがたいことか」と益子氏は話す。

 こうした努力が報われる日が来た。20年12月4日に、ベトナムで外食業界最高の栄誉であるVietnam Restaurant & Bar Awards 2020で、“Restaurant of the year“ ”Social Responsibility(社会的責任)”の2部門でのアワードを獲得した。さらに、21年3月、「Asia’s 50 Best」の "Essence of Asia" に選出された。本賞は、アジア49都市、20か国で選出されるもので、日系のレストランが獲得するというのは、大変な快挙である。「この1年、コロナの影響で正直本当に辛くしんどい日々が続いた。このきつい状況のなか、諦めずに一緒に乗り越えようと立ち向かってくれている全てのパートナー、従業員、そしてそれを日々支えてくださっているお客様のおかげです」と述懐した。

 20年12月15日には、席数150とPizza 4P’sチェーン最大級の店舗を北部ハイフォン市にオープンした。200人の予約を含め400人が、初日から来店した。さらに7月には、ベトナム以外で初の店舗となるカンボジア店がオープンする予定だ。

 環境面でも”Zero Waste(ごみゼロ)”を目指して、すべての素材をリサイクルできるように準備しているという。コロナ禍でありながら、足を緩めることなく、試行錯誤を繰り返し、果敢にチャレンジし続けている。

 コロナ禍で、日本の飲食店はかつてない苦境に立たされている。しかし、海外の日本人経営のレストランは、さらに厳しい。ベトナムでは、日本の店舗に支給されているような支援金などない。このような環境の中でも、粛々と新しい施策を打ち出し実行に移す日本人起業家、益子氏から学ぶことは多い。

佐脇英志(さわき・ひでし) 都留文科大学教授
住友銀行(現 三井住友銀行)で銀行業務を経験後、25年以上海外ビジネスを経験。ベンチャー設立、電機メーカーの営業・調達責任者、現地代表、印刷会社のCEO、クレーン工場の現地責任者等、計5回18年間の海外駐在を通しアジアの経営と経営再建に携わる。英国 MBA、オーストラリア経営学博士を取得。亜細亜大学教授を経て現職。文科省科研費と異文化経営学会の支援を得て、アジアで活躍する日本人起業経営者を研究している。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。