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ベトナムの有名日系ピザ店「4P's」 コロナ下の進化と真価 都留文科大学教授 佐脇英志

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 「ベトナムでゼロからピザレストランを苦労して立ち上げて10年間頑張ってきましたが、このコロナ禍の1年が一番苦しい時でした。今回はやれることは全てやったと思います。さもなければ、会社がつぶれてしまっていたかもしれなかったからです」

 全くの素人が外国でピザ店「Pizza 4P‘s (ピザフォーピース)」を立ち上げ、様々な苦労の末、28店舗 、従業員2000人を擁する人気レストランチェーンにまで築きあげた益子陽介氏の言葉である。

 ベトナムでは、2020年1月31日に最初の感染者が発見され、それからベトナム政府から矢継ぎ早にコロナ対策の発令が下った。飲食業もお客さん同士の間を1メートル空けたり、120人定員の店でも一律定員30人までと制限された。4P’sの売り上げもコロナ禍以前の3分の1まで落ち込んだ。共産国だけに発令は強力で、違反者は逮捕・投獄と厳しく罰せられた。加えて、観光客が消え、外国人駐在員は帰国してしまい、たくさんの顧客が手のひらからこぼれ落ちるように消えていった。さらに、政府から通達が出て、同年3月26日から数日間ベトナム22店舗すべて閉店となり、売り上げがゼロになった。

デリバリーシステム 自前で構築

 やがて、デリバリーのみ許されるようになり、デリバリーによる販売を始めた。本来、店舗で目の前の窯で焼く、焼きたてのピザを食べて頂くのが一番おいしいという考えから、デリバリーを拒んできたが、決断した。さらに、長期的視野から直に顧客とつながれ、かつ顧客データを蓄積できるように、自前でデリバリーシステムを構築した。通常であればウーバー(Uber)やグラブ(Grab)のデリバリーサービスを利用するが、その場合重要な顧客データは蓄積できず、自前対応を決断した。日本で完全キャッシュレス化を実現したクリスプ・サラダワークスの宮野浩史社長と話した時に、「デリバリーをウーバーに任せると、情報がウーバーに集まり、依存体質になる。ビジネスの健全性がなくなる」と語っていたのが、ずっと頭に残っていた。

 しかし、デリバリーシステム構築は甘くはなかった。22店舗あると1日300件超、1か月で1万件のオーダーに上った。顧客からのデリバリーステータス問い合わせ、遅延クレームが頻発し、コールセンターはパンクした。顧客に率直なフィードバックをお願いし、決して逃げず、一つ一つ真摯に対応し改善策を講じた。社長の益子氏にもいくつもクレームが入ったが、大切な友人のアドバイスと感謝し対応した。IT担当は、1か月間睡眠時間を削って頑張った。

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