フィンテックサミット2021特集

グリーン金融革命 カギ握るサステナブルファイナンスと富の民主化

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 竹田 2050年のカーボンニュートラルという目標を達成するには、ドラスチックな変化が必要だ。産業界だけでなく消費者のマインドも変化を迫られており、Z世代(1990年代後半~2010年ごろ生まれ)が購買の主力層になる頃、消費者の大半はサステナビリティーに関する厳しい目を持って商品やサービスを選ぶようになるだろう。加えて、技術の進歩により、サステナビリティーに関する情報を容易に入手できるようになれば、消費者のモノを選ぶ目はますます厳しくなる。そうなれば、グリーンウォッシュを行うような企業は自然淘汰されるはずだ。

グリーン金融革命実現のカギは

「分散型金融」と「富の民主化」

 岩田 技術の進展は分散型金融の普及にも貢献するだろう。中央集権的でない資金のやりとりを意味する分散型金融は、富の民主化の実現にも大きく寄与し得る。分散型金融も富の民主化もテクノロジーの後押しにより、個人が金融の主体として、従来よりも大きな力を持つという意味で共通する。

 ピアズリー 金融全般のトレンドを見ても、個人が意思決定の主体となる場面が増えてきたと実感する。投資の主体としての個人投資家の存在感も増している。今後、例えばESG投資に関する議論の場に、機関投資家や金融機関のみならず、個人投資家も招き入れるなど、個人が投資の意思決定をできる機会をさらに拡充させることも必要だ。

 グレヴェルディンガー 分散型金融の普及は、個々人の投資に対する意識変革を促した。このことがEUにおけるESG投資のトレンド形成に果たした役割は非常に大きい。分散型金融はまた、ESG投資をさらに加速化させるエンジンにもなり得る。個人投資家を含む金融業界のプレーヤー自らが、スピード感をもってサステナブルファイナンスを推進することが大切だ。

 竹田 富の民主化とはつまるところ、個人が意思をもって特定の資金の流れを生み出すことを指す。三井住友銀行でも先般、グリーン預金に関するリリースを出したがESG投資に関しては、ESG投資をしようという意思をもつ個人が、ESGの観点で評価できる企業を自ら選び、投資できる機会と投資判断に必要な情報が入手できる環境の提供が必要だ。一方、投資や金融の主体としての分散した個人がネットでつながり、力を持つ世界で、様々な面でのガバナンスが課題となる可能性もある。例えば今後、自律的な個人がつながってコミュニティーを形成し、さらに分散したコミュニティー同士がつながり合い、互いにガバナンスを利かせることで社会全体最適を目指す、まさにブロックチェーンのコンセプトを反映したガバナンスが誕生することも考えられる。

 岩田 技術の力でデータにトラスト(信頼)を与えることで、投資の助言をするアセットマネージャーなどの助けがなくとも、企業を評価するためのデータを自らの投資基準に沿って、誰もが簡単かつ低コストに入手できるようになった。こうしたESG投資の間口の拡大は、サステナビリティーを志向する個人による活発なESG投資の実現に大きく寄与し、ESG投資拡大に向けた大きなうねりを生み出している。金融業界はさらに英知を結集してこの動きを加速化させ、2050年のカーボンニュートラル達成のため、「革命」と呼べるほどの変化を起こさなければならない。

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