日経SDGsフォーラム

本業の先 見据えるSDGs 「情報革命で幸せに」理念支える

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 社会の形を一変しうるイノベーションのうねりが巻き起こるIT(情報技術)の世界。「情報革命で人々を幸せに」を掲げるソフトバンクは10年単位の大変革が起きるたびに姿を変えてきた。現在の「本業」である通信の先に、何を見据えるのか。その指針となったのがSDGs(持続可能な開発目標)だった。

近づく5G社会 大転換期の指針

 24歳の若き孫正義氏が「日本ソフトバンク」を旗揚げしたのが、今から40年前の1981年。ミカン箱に乗って2人のアルバイトに「いずれは売上高を豆腐みたいに1丁(兆)、2丁(兆)と数えるような会社にしてみせる」と豪語する青年が選んだのが、「情報革命」だった。

 資金もなくソフトウエアの卸業からの船出。そこに加わったのが宮内謙氏だった。孫氏が「みやうっちゃん」と呼ぶ相棒は、時代とともに姿を変えてきたソフトバンクの歩みの生き字引とも言える。

 ソフトの卸から出版業に進出し、1990年代にインターネットが勃興するとヤフーを設立した。21世紀に入ると、孫氏が「我々にとって、まさに桶狭間の戦いだった」と振り返るブロードバンド参入を決意する。巨艦NTTに挑んで4年連続の巨額赤字に沈む。「崖に落ちそうなのを指2本でギリギリ支えている状態だった」というソフトバンクを支えたのが、宮内氏が率いる営業部隊だった。その後も2兆円を投じた携帯参入など、懲りることなく危なっかしい挑戦を繰り返す孫氏を支えてきた。

 その宮内氏が「まさに今、パラダイムシフトが起きようとしている」と言う。5Gの普及を目前に控えてゲームのルールが「ガラリと変わろうとしている」。あらゆるモノや人が常につながる世界が到来するからだ。通信の先をにらむ「ビヨンド・キャリア」の戦略は、孫氏とともに幾度もの大波を乗り越えてきた宮内氏にとっても集大成の構造改革と言えるはずだ。

 2018年の上場を機に深く考えるようになったというSDGs。17の目標には、ビヨンド・キャリアで目指す未来のソフトバンクの姿が凝縮されているという。「情報革命で人々を幸せに」の経営理念を「さらに明確に示したのがSDGs(の17項目)だった」。まさに「経営の根幹を成す発想」を、そこに見たのだという。

 大転換期を迎えたソフトバンク。宮内氏に、どんな人材がその未来を支えていくのかと聞くと、「新しいテクノロジーへの飽くなき関心を持つ若者」と返ってきた。「大丈夫。いっぱいいますよ」とも。

 孫氏とともに激動のIT産業を駆け抜けてきた宮内氏は4月に会長に就任する。その目に映る未来は、限りなく明るい。

(編集委員 杉本貴司)

「超オープン」に生まれ変わる覚悟――

 実は、SDGsを意識し始めたきっかけは、あるアナリストからの指摘でした。「宮内さんはSDGsに関心がないのでは」と言われてよく調べてみると、目を見開かされる思いでした。我々がなすべきことがこの17項目に集約されていると改めて認識させられたからです。
 早速、SDGs推進委員会を作ったのですが、そのチームが6つのテーマに経営戦略を落とし込み、部門別に何をやるべきか、その計画を作ってくれた。これは全社を挙げて実行する。そのため私自身が「最高SDGs推進責任者」となりました。全力で取り組むぞという社員向けのメッセージでもあります。社長が全責任を背負うと言えば、現場の社員もチャレンジしやすいですしね。
 今年はソフトバンクが通信業に参入して20年。今は「ビヨンド・キャリア」を掲げています。通信インフラを提供するだけの「キャリア(通信会社)」にとどまらない存在になるという意味です。現在はAI(人工知能)をはじめとするテクノロジーのパラダイムシフトが猛烈な勢いで起きている。あらゆるモノや人がつながる時代です。我々の役目は、それらを活用してお客さんの価値を創造することにある。単なる通信会社とは違うというわけです。大企業だけでなく中小企業や官庁も含めて、新しいビジネスモデルを提供していきたい。
 そのためには新しいテクノロジーやビジネスモデルを作る社外の若い人たちのパートナーとなれるかが問われる。オープンイノベーションではなく「超オープン」な姿勢が必要。そうでなければ新しいイノベーションの流れにはついていけなくなる。彼らとともに、ソフトバンクも生まれ変わろうとしています。

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