BizGateリポート/経営

テレワーク社員に社食宅配 OKAN、コロナ時代の社食改革

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 新型コロナウイルス禍により働き方が変化する中、対応を迫られているのが「社食事業」だ。リモートワークが進み、出勤する社員数が少なくなる中で、従来のように、会社で社員食堂を抱えたり、運営会社に委託するなどのモデルが実態に合わなくなってきている。社食事業に今どのような変化が起きているのか、また社食事業者はどのように対応していくのか。OKANの取り組みを例に新たな社食の形を紹介する。

 同社は2014年、“オフィスに置くだけの社食”として「オフィスおかん」のサービスをスタート。2020年5月からはリモートワークに対応し、社員の自宅に届ける「オフィスおかん仕送り便」を開始した。

 オフィスおかんは、お総菜や主食をオフィスに届けるサービス。社員は1品につき100円(税込み、以下同じ)を払い、他の費用は会社が負担する。栄養や添加物などに配慮したさまざまなメニューから、自分で選んで安く購入できるのが社員にとっての利点だ。

 会社にとっては、最小限のコストで、また冷蔵庫や電子レンジなどを置く小さなスペースで社食の機能を提供できることが大きなメリットとなる。料金は品数、配送頻度などによってランク分けされているプランごとに異なるが、一番規模の小さなもので6万60円(月額)。冷蔵庫や使い捨て容器の提供、商品の賞味期限管理、料金の回収などもOKANで行う。

 オフィスおかん仕送り便は社員の自宅へ配送するサービス。1箱(惣菜10個)で会社負担は3278円。

人材定着の切り札 成長率200%

 同サービスは開始以来、毎年成長率200%を維持。現在の契約企業数は2500拠点となっている。2020年度もコロナの影響を受けたとは言え、成長率200%弱とのことだ。

 同社の沢木恵太代表取締役はその理由を「社食の持つリテンションマネジメント機能へのニーズが高まっているため」と見ている。

 リテンションマネジメントとは、企業の魅力を高めて人材流出を防ぐ施策のことだ。

 人口減少という大きな潮流に加え、仕事への価値観、働き方が変わる中で、人材の流動化が起こっている。人材定着策の一つとして、社食の可能性が注目されているというのだ。

 ただし、リテンションマネジメントの必要性をより切実に感じているのは中小企業。社屋のスペースやコスト面で、社食を設置する余裕はないところがほとんどだ。

 そうした中小企業のニーズをうまくつかんだのが、オフィスおかんだったわけである。

 とくに力を入れているのが商品品質。食材は国産にこだわり、管理栄養士による監修のもと、栄養バランスに配慮したメニューをそろえた。また、国内で許可されている添加物は1500種類あるが、オフィスおかんではさらに30種に抑えている。

 「導入した企業では『毎日利用している中で、より魚を選ぶ回数が増えるなど、社員の健康意識が向上した』という声もある」(沢木社長)

オンライン懇親会でも利用

 子育て中の社員などが夕食として持ち帰るケースもあるという。オンライン懇親会などユニークな例もある。その導入企業では、場所はバラバラでも、同じものを食べて一体感を醸成することを意図したそうだ。

 withコロナ社会の企業には、リテンションマネジメントがますます重要になると沢木氏はみている。コロナによる社食の変化には2つの方向性がある。一つが、エッセンシャルワーカーなどテレワークが普及しない業種。テレワークできる業種に比べて不公平感もあり、企業としては従来より進んだサポートが必要となる。

 もう一つが、テレワークが進んだ業種。従来型の大きな食堂で一斉に食べる、というスタイルでなく、自宅でも使える等、フレキシブルにしていく必要がある。佐々木氏はこれを「社食のクラウド化」と名付けている。

 フレキシブルな社食の例としては、宅配の他に既存の飲食店を社食として利用できるようにする「どこでも社食」や、社員に飲食店やコンビニなどで使えるチケットを配布する「チケットレストラン」など、社食機能を求めている企業と飲食店を結ぶサービスが挙げられるだろう。

 これらは、今、緊急事態宣言や時短要請などで苦境に陥っている飲食店の支援策ともなる。ただし、周辺に飲食店が少ない地域では使いにくく、コロナの影響で店舗が休業、もしくは廃業するリスクがある点がマイナス要素だ。

 その点OKANは独自のサプライチェーンと一般の宅配で、全国に対応するところが強みとなっている。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。