90日で成果をだすDX入門

DXとは顧客体験の提供で事業成長すること Kaizen Platform CEO 須藤 憲司

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業種が違うのに、課題はなぜ同じなのか

 サイトの改善に上流工程から取り組んでみると、「手段の目的化」はもとより、現在の業務をそのままデジタル化することをDXと捉えるケースが非常に多いことに直面しました。

 デジタル化は目的ではなく手段でしかありません。達成したい目的や正しい問題が設定されていればこそ真価を発揮するにもかかわらず、それを間違えている人が多かったのです。

 私たちがさまざまな企業と関わる中で感じたのは、KPI(重要業績評価指標)やKGI(重要目標達成指標)はビジネスモデルに依存しており、業種には依存しないことです。さらにいえば、業種をまたいだとしても、KPIが同じであれば効力のある施策も似ているとわかりました。

 DXの悩みはフェーズごとに似ており、先行企業の意思決定と結果が非常に参考になります。だからこそ、このような「DX入門」という教科書が作成できるのではないか、と考えたのです。

顧客体験の変化が事業のKPIを劇的に変える

 実際に顧客体験を変えることで、劇的に事業のKPIを変えることができます。

 たとえば、Eコマースの事業構造をみてみましょう。N回買っていただく(通常3回のケースが多いです)とその後の定着が進むため、いかにN回買っていただくかというシナリオが重要になってきます。

 サブスクリプションの事業構造をみると、こちらもほとんど似た構造になっています。いかに有料会員に転換できるか、その有料会員の解約率を下げてLTV(顧客生涯価値)を高められるかが非常に重要になっています。

 獲得経路別のコホート分析やオンボーディングを強化することでLTVの高い顧客を増やしていくことが収益アップの秘訣となります。

 銀行や証券会社などの金融の事業構造をみても、いかに口座を獲得することができるか、その後、その口座のクロスセル・サービスのクロスユースを高めていけるかが事業の収益レバを大きく変えていきます。

 このように顧客体験といっても、ある意味デジタルを活用すると数字を取得することができて、KPIを定量的に可視化・構造化できます。

 全てのビジネスモデルは、デジタルテクノロジーを活用して、この3つの顧客体験をどのように改善していくかを考えることで、事業のKPIを劇的に変えることができます。

キーワードは「小さく、素早く」

 そして、それをどう実現していくかというのが非常に重要なポイントです。

 企業のDX推進で効果を上げようとするのであれば、いきなり全社プロジェクトのような大規模事案にするのではなく、もっと小さく、素早く実行して検証できることから取りかかり、成果を上げながら、規模や影響範囲を拡大していくほうが、結果的に合理的になることが圧倒的多数です。

 まずは小さな成果を出し、それを基にして、より大きな成果へ挑んでいく。この「DXへの階段づくり」が肝要だと考えています。

須藤 憲司 著『90日で成果をだす DX(デジタルトランスフォーメーション)入門』(日本経済新聞出版、2020年)、「はじめに」「1-1 DX推進で絶対に避けるべきワナ」から抜粋。転載にあたり一部編集しました。
須藤 憲司(すどう・けんじ)
2003年に早稲田大学を卒業後、リクルートに入社。同社のマーケティング部門、新規事業開発部門を経て、リクルートマーケティングパートナーズ執行役員として活躍。その後、2013年にKaizen Platformを米国で創業。現在は日米2拠点で事業を展開。企業の顧客体験DXを支援する「UX」「動画」「DX」の3つのソリューションを提供。

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