フィンテックサミット2021特集

世界最先端のブロックチェーン技術・ノウハウ生かし「価値の交換」に関するイノベーションの実現支援 フォビジャパン代表取締役社長 陳 海騰氏に聞く

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 昨年、資金決済法と金融商品取引法の改正法が施行され、暗号資産取引に際して、取引事業者に弁済原資の保持が義務付けられるなど、わが国では暗号資産取引の制度設計が現在進行形で進められている。暗号資産取引に携わる企業の在り方も変化の途上にあるが、実際にはどんな課題を抱え、将来のビジョンをどのように描いているのか。世界市場での豊富な実績を持つフォビグループの技術や知見を強みに、国内で暗号資産取引事業を展開するフォビジャパン代表の陳海騰氏に話を聞いた。

世界市場で培った知見・技術強みに

日本の暗号資産取引市場で存在感発揮

――フォビジャパンの強みを教えてください。

 フォビジャパンは2016年設立の暗号資産交換事業者です。取り扱い銘柄、取引量共に世界トップクラスを誇る暗号資産取引業の世界大手・フォビグループの技術力や知見を強みに、暗号資産取引所や販売所の運営などを行っています。グループの本社は中国ですが、アメリカや韓国、中東でもビジネスを展開しています。

 ユーザーに選ばれる取引所の条件は、流動性に大きく左右されます。取引所の流動性は、ごく簡単には、取引量や取引金額の多さ、取引の活発さと言い換えることができます。当社は世界130カ国以上にユーザーをもつフォビグループの技術力と信用力に裏打ちされた豊富な流動性を有しており、個人から機関投資家にいたるまで、多様なプレーヤーに安心して利用してもらえるプラットフォームを運営していると自負しています。

――昨年からは、フォビグループ独自開発の暗号資産「フォビトークン」の取り扱いを開始しています。

 フォビトークンは現在、世界30カ所の取引所での取り扱いがありますが、日本での取り扱いは当社のみです。暗号資産の時価総額ランキングでも上位に位置し、世界市場でも高い流動性を確保しています。

 フォビトークンにはユニークな機能があり、送金や決済、取引といった暗号資産としての基本的な機能はもちろん、保有量に応じて当社の取引所での取引にかかる手数料の割引が受けられるサービスや、トークンの運用について保有者自らが意見を出し、投票によって運用プランを決定できるガバナンス機能も備えています。フォビトークンの流通量調整のための定期的な焼却プログラムの実施も、投票によって決定しました。

日本企業との連携深め

ブロックチェーンの横展開進めたい

――セキュリティーシステムはどのように構築していますか。

 セキュリティーは当社にとって、最も重要な課題の一つです。現状、取り引きに関するリスクはゼロではありません。しかし技術とノウハウを磨き続けることで、リスクを極力排除し、最小化することは可能です。300人以上の優秀なエンジニアを有するフォビグループは、世界トップレベルのリスクコントロールシステムを構築しているだけでなく、世界で暗号資産取引事業を展開する他企業との情報交換も定期的に行いながら、セキュリティーシステムを絶えず磨き続けています。

 セキュリティーに限らず、ブロックチェーンや暗号資産に関連する技術は日々進化しており、単に資本を投入するだけでは追い付けないほど成熟化・複雑化しています。世界市場を見渡すと、メインプレーヤーはグローバルで長年の実績を持ついくつかの企業に固定化されつつありますから、今後新規参入して大きな成果を上げるのは並大抵のことではないでしょう。

 だからこそ、暗号資産やブロックチェーンに関心をもつ日本企業があれば、当社との連携を考えてみていただきたいのです。グループが蓄積してきた技術やノウハウを生かし、新サービスや事業の企画から開発、必要であれば新しい暗号資産の発行までをサポートします。

――連携を通じ、実現したいのはどんなことでしょうか。

 当社は中国での成功を日本に持ち込むのではなく、日本企業と一緒に、日本の暗号資産やブロックチェーン技術の可能性を広げる事業を行いたいのです。実際、当社の主要株主4社のうち、グループ会社を除く3社はいずれも日本企業。うち、2社とは資本提携だけでなく業務提携も行っています。今後も様々な企業と提携し、シナジー効果を発揮していきたいと考えています。

 暗号資産を支えるブロックチェーン技術は、多くの人の同時参加を可能にする公平で開かれたシステムであり、改ざん耐性も高い。それだけでなく、規模を問わず、瞬時の価値の交換を可能にする技術でもあります。現状、日本では特に金融領域での利活用が進んでいますが、この「価値の交換」をキーワードに、今後は様々な分野で新しいサービスやプロジェクトが生まれるでしょう。

――例えばどのようなサービスやプロジェクトが考えられますか。

 一例ですが、暗号資産を通じた寄付が挙げられます。当社は2019年、沖縄県の首里城の火災に際し、暗号資産での復旧資金の寄付プロジェクトを立ち上げました。沖縄は私にとって、留学時代を過ごした第二の故郷であり、世界的に有名な観光地でもあります。支援したい気持ちを持つ人は世界中にいますが、国際送金は手間もコストもかかる。そこで、暗号資産を通じ、メールを送るような手軽な操作で、瞬時かつ低コストで寄付ができるようにしました。暗号資産はマイクロペイメント(少額決済)が可能ですから、寄付のハードルを下げることにも貢献します。

 こうした事例は今後、どんどん増えていくでしょう。私は約15年前、インターネットの普及が本格化し始めたころに、検索エンジンの中国大手百度(現バイドゥ株式会社)の日本法人の代表として、インターネットによる情報共有・交換の利便性の飛躍的な向上が、ライフスタイルを一変させていくのを体感しました。今度はフォビジャパンの代表として、ブロックチェーン技術を通じ、「価値の交換」に関わるイノベーションを日本の様々な企業と一緒に起こしていきたい。その思いで、今後も日本の暗号資産やブロックチェーン技術の普及・促進に貢献すべく、様々な可能性を追求し続けます。

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