BizGateリポート/経営

オフィス、移転・縮小でコスト減 住宅は広さ求め郊外へ コロナ下の不動産市場 ネットワーク88代表・幸田昌則氏に聞く

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 新型コロナウイルス禍が不動産市場に大きな影響を与えている。東京都心ではオフィスの縮小・整理統合が相次ぎ、空室率が上昇しオフィスの賃料市況は悪化している。一方、住宅・マンションでは、「3密」を避けるために郊外に購入する動きが目立ち、需要が増えている。不動産市況アナリストで、ネットワーク88代表の幸田昌則氏は「コロナ禍は、不動産市場の分野によって、『神風』と『大嵐』を同時に吹かせた」としたうえで、今後は「オフィスや住宅は、都市部への集中から、郊外へ分散が進み多様化する」と分析する。

経営者はオフィス費用削減めざす

 オフィス市場は、コロナ禍で大転換期を迎えそうだ。テレワーク推進で在宅勤務の会社員が増加する一方、東京都心の就業人口は減少の兆しがあり、企業のオフィス需要にも影響が出始めている。電通が本社ビルの売却を表明するなど、企業が自前の都心オフィスを手放す動きもみられる。

 これまで、IT企業の台頭や、貸しオフィスやシェアオフィスの急拡大で、需要が強まり、空室率は低下していた。それに伴い、東京都心のオフィスビル賃料が上昇した。ところが新型コロナ感染が拡大した2020年春以降から、テナント退去が増加し、スペースの縮小、拠点の整理・統合が相次いだ。オフィス需要の減退が鮮明になり、賃料下落の圧力が増している。幸田氏は「今後の市況の急速な回復は難しい。テレワークの普及で、従来のようにオフィス立地があまり問われなくなってきた。超低金利を要因としたオフィス大量供給と都心ニーズの弱まりで、需給関係は緩んでいる。企業のオフィス分散化も進むだろう」と指摘する。

 こうした流れに呼応するかのように、企業のオフィス移転を呼び込もうとする地方自治体が見られる。例えば、広島県は県内に本社を移転した企業に対して、最大2億円を助成する制度を始めた。幸田氏は「経営者のオフィスに対する見方が大きく変化した。今回のコロナ禍で、経営者は、オフィス費用を減らせば利益改善につながるうまみを知った。これから、人件費はもちろん、オフィスの維持費用をいかに減らすかに力を注ぐようになるはずだ」とみる。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。