2030年の自動車産業

電動車普及で部品メーカー消滅?海外勢と提携に活路 中西孝樹・ナカニシ自動車産業リサーチ代表に聞く(2)

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 2030年には、世界的に電気自動車(EV)を中心とする電動車が普及していそうだ。政府は脱炭素化へ向けて、2030年代半ばまでに新車すべてをEVや、HV(ハイブリッド車)、PHV(プラグインハイブリッド車)などに切り替える方針だ。CASE(コネクティッド、自動運転、シェアリングサービス、電動化)革命のなかで、車の部品点数は大幅に減少する。自動車業界のピラミッド構造にも大きな変革が待ち受ける。ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表は、国境を越えたサプライヤーの大再編は不可避だと指摘する。

 政府は昨年12月、「グリーン成長戦略」の工程表で2030年代半ばまでに、軽自動車を含む全ての新車をEVや燃料電池車(FCV)など電動車にする目標を掲げた。現在、国内販売のうち、ガソリン車とディーゼル車の割合は60%を占める。一方、EVとPHV、FCVは合計しても2%台にとどまる(日本自動車販売協会連合会調べ)。電動車はこれから10年余りで普及するのか。中西氏は「電動化は昨日今日決まった話ではない。欧州グリーンディールなどの世界の潮流を見ることで、日本車メーカーはCO2排出が競争力にかかわると認識し準備を進めてきている。今回のグリーン成長戦略によって、政府と企業の軸足が定まった」と語る。

対応遅れるサプライヤー

 日本の自動車メーカーは、電動化の波に対応しようとしている。これに対し、完成車メーカーに部品を供給するサプライヤーは「自分たちは、もう少し先のことだという認識だ。全体的に対応が遅れている」(中西氏)。車の電動化が進めば、完成車メーカーを頂点とした、ティア1(一次下請け)、ティア2(二次下請け)、ティア3(三次下請け)と続くピラミッド構造にも変化が起きる。中西氏は「日本の産業構造を大きく変える契機となる」と予測する。CASE革命が進めば、自動車メーカーは、操作系部品を制御するECU(電子制御ユニット)などの「ソフトウエア開発」に重点を置き、「ハードウエア」で競争する時代は終焉(しゅうえん)を迎える。中西氏は「ハードウエアへの投資は減少するため、ハードのモデルチェンジの頻度は減り、技術は陳腐化しやすくなる」と指摘する。

 CASE革命は、自動車の製造・付加価値がハードウエアからソフトウエアに移行することを意味する。一方、伝統的なガソリン車は、EV化によってエンジンからバッテリーへのシフトで搭載部品数は大きく減少する。ソフトウエアの付加価値向上を追求できるサプライヤーは限られてくる。プレス加工や鍛造といった部品だけを生産する企業は、付加価値の向上を見いだせなくなる。

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