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バイデンの米国 政策どう変わる? 環境・税制…日本にプラスも 橋本政彦・大和総研シニアエコノミストに聞く

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 20日にバイデン米新大統領が就任し、大統領と上下院の多数党を民主党が占める「トリプルブルー」政権が発足する。過去2年間の米国政治のねじれ現象は解消し、バイデン氏の掲げる経済政策「バイデノミクス」の実現可能性が高まった。インフラ投資や大規模な財政出動などを進める構想は、日本企業にもプラスの影響を与えそうだ。ただ法人税増税や環境規制など企業マインドを冷え込ませかねない政策も少なくない。米経済に精通する大和総研の橋本政彦・シニアエコノミストに聞いた。

「トリプルブルー」で日本のGDP1.5%押し上げ

 バイデン氏は就任初日に、パリ協定への復帰など10の大統領令に署名する方針だ。さらに新型コロナ・経済危機・気候変動・人種間の不平等という直面する4つの危機に対し、最初の10日間で集中的に大統領令を発令し国際社会で米国の地位を回復させると表明している。

 バイデノミクスは民主党主流派と存在感を増した左派を中心になってまとめ上げたものだ。(1)新型コロナ対策の財政出動(2)交通、通信インフラへの投資(3)クリーンエネルギーへの転換(3)ヘルスケアの拡充(4)富裕層の税額免除額の上限設定(5)法人税を21%から28%に引き上げ――など多岐に及ぶ。インフラ投資関連の費用は10年間で4兆ドル、ヘルスケア関連は2兆ドル程度と巨額となる見通し。トリプルブルー下でこれらの政策が実現した場合、橋本氏は「米国の国内総生産(GDP)の水準は21~24年で平均2.0%程度押し上げられる」と予測する。日本の実質GDPも5年間で平均1.5%程度押し上げると分析している。

 日本企業にとっては、バイデン氏が14日に表明した1.9兆ドル(約200兆円)の新型コロナウイルス対策も追い風になりそうだ。家計への支援は1兆ドルで、高所得層を除いて1人当たり最大1400ドルを支給する。米シンクタンクの試算では、現金給付の総額は12月に決まった600ドルの支給策と合わせて4640億ドルにも及ぶ。米個人所得は全体で月1.6兆ドル規模なため、その3割近いマネーが家計に流れ込む計算だ。橋本氏は「自動車や家電製品などの需要を刺激するだろう」と予想する。インフラ投資など本格的な経済成長戦略は、2月に予定する両院合同議会での初演説で説明するという。クリーンエネルギー政策の日本企業への影響は当面限定的となる見通しだ。

 橋本氏は「トリプルブルーでも上院は共和・民主同数の各50議席で、バイデノミクスすべてが実現可能とみるのは早計だ」と話す。新政権には議会審議が高いハードルとなりそうだという。米国議会は党議拘束が緩やかで、特に任期が6年間と長い上院議員は所属政党に必ずしも縛られない投票行動をする議員が少なくない。橋本氏は「1人の造反も許されないため、民主党内でコンセンサスが得られづらい極端な主張の政策は難しい」と分析する。共和党穏健派の動向にも配慮が必要だ。

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